時をかける少女

UDONの感想文が半分書きかけの状態でデスクトップに貼り付いています。順番からいったらそっちから片づけるべきなのに、これはもう早くアウトプットしたくて、というか、少しでも多くの人に観てもらいたくてあわててキーボードをバタバタと打っている、こんなこといまだかつてありませんでした。自分の記憶にとどめておきたいがためのメモなのに、今日だけは違う。まだ間に合う、まだ半袖でいられる季節の間にぜひ、映画館へ。
普段まったくアニメに興味を示さない連れが、突然「時をかける少女を観に行きたい。水曜はどうだろう」と具体的な日にちまで提示してきたので驚きつつも、わたしもすこぶるいい評判に気になりまくっていたのでふたつ返事で「いいだろう」とアンサー。水曜の夜、新宿の最終回。平日にもかかわらず立ち見が出るほどの大盛況。オタオタしい人も見かけたけれど、ほとんどがいわゆる「普通の人」で、その評判の高さをあらためて思い知りました。
原作ははるか昔に読んでいたけれど記憶は本当に曖昧で、原田知世出世作も観ていない。だからちょっとした内容のリンクにも気が付かなかったけれど、「夏のアニメ映画、裏の大本命」と評されたそのわけを痛いほど噛みしめながら2時間弱を過ごしました。入道雲、進路に揺れる高3の夏、友情以上恋人未満の3人組、キャッチボール、友達とのおしゃべり、思春期のややこしさ……わたしは高校時代にそんな甘酸っぱい経験なんてしたことないけど(女子校だったしな!)あの時代を過ぎてしまったからこそ胸に迫るシーンの連続で、しょっぱなからキュンキュンしまくりでした。そこに描かれる日本の夏風景もとてもきれい。そこにタイムリープが絶妙な味付けでSF(すこしふしぎ)テイストを演出していて、キュンキュンしながらも「鮮やかだ!」とうなってしまったほど。ごりごりのSFじゃないところがまた現実ばなれしすぎてなくていいんです。
主人公の真琴が、とにかく走る。飛ぶ。泣く。常に全力でぶつかって、全力で泣き笑う。それが観ていてとても気持ちいいし、だからこそ彼女の切なさが痛いほど伝わってくる。全体的に躍動感のあるシーンの連続なんだけど、だからこそここぞというときに使われるスローモーションやストップモーションにドキッとさせられてしまう。ああ、それに千昭。なんてかっこいいんでしょう。わたしは始終彼に恋していました。ええ、気が多いことで有名なピヨ丸さんですよ。
それから声優さんがとてもすばらしいのです。本職の方だと思ったら違うのね、特に真琴役の仲里依紗さんと千昭役の石田卓也さん、すばらしかった。モノホンの声優さんがやるとちょっとわざとらしすぎたり、タレントが半端にやると大根だったりするけど、彼らの日常が向こう側に透けて見えるようなリアリティがあって感動しました。本当に役を生きているというか。余談ですがアスベルでアシタカのあの人があの役って…!とちょっと衝撃を受けました。
それからエンドロールでかかるこの曲。

映画のワンシーンがフラッシュバックするばかりでなく、青春の切なさがなんどもこみ上げてきて、わたしは暗い客席でずっと奥歯を噛みしめていました。ああ、やっぱり映画の帰りに買ってくればよかった。あんまり聴きたくなったのでさっき着うたをダウンロードしてしまいました。ほんの短いフレーズでもぐっときます。よし、明日買いに行こう。
映画館を出るとき、ふたりして感無量でした。こんなのって最近ちょっとない。ピンポン以来かもしれない。もう1回観に行きたいなあ。本当にステキな映画でした。おすすめです。以前からひそかにお慕い申し上げているhappyicecream*のチズさん*1もすばらしいレビューを書かれていますよ。「まこと」「ちあき」「こうすけ」という名前の語感、本当にいいですよね!(突然私信