ないものねだり

仲良したちが楽しそうにわちゃわちゃしているのを見るのが好きだ。
仲間に入ったら楽しそうな気もするけど、見ているだけでいい。
そのわちゃわちゃを見てほわほわして、ちょっとうらやましくなるくらいがいい。
肴は炙ったイカでいい。

3/2 オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー in 日本武道館
ラジオのイベントでライブビューイング含めて22000人を動員してしまったという、どうかしてるけどふたりの変わらぬ人気を裏付ける記念日を目撃してきた。
まわりをぐるりと客席に囲まれたステージには、ラジオブースを模した椅子と机だけの簡素なセット。
入場こそプロレス形式だったけど、出てきたふたりは普通に椅子に座って、ひとこと目が「あのね、春日さん」だったかもう忘れたけど、そんな感じでいつものラジオみたいなトークが始まった。
武道館だからって何も特別なことはなかった。若林は青森でイタコに会ってお父さんを口寄せしてもらった話、春日は例の狙ってる女についての話。お客さんに話すというよりも、あきらかに目の前にいる旧友に向かって笑わせようとするテンションで。まあ、これはいつものラジオでもそうなんだけど。
組んだ腕を机の上にのっけて少し身を乗り出しながら話を聞く若林と、机に向かって90度の角度で座って、若林のほうに首を向けながら話す春日。
まるで、教室の前後ろの席でしゃべってるみたいじゃないか。

彼女のことを頑なに「狙ってる女」と呼び続ける春日とそれに腹を立てた若林の、

春日「狙ってる女がね、」
若林「彼女彼女彼女彼女彼女彼女彼女」
春日「……いや、流れで呼んだりしないから。狙ってる女がさ」

というやりとりがあったんだけど、ふたりが一瞬学ラン姿に見えてしまって視界がぼやけそうになった。わたしは頭がどうかしているので許してほしい。見えてしまったんだからしょうがない。

「ほんとは最後に言おうと思ったんだけど」と前置きして最初のトークパートでいきなり「俺とコンビ組んでくれてありがとな」とボケいっさいなしのマジトーンで告白する若林に「……それ今言う?」的な春日の困惑ツッコミしかり、学生時代から地続きのふたりがここにいるのだ、という新鮮な感動が毎秒湧き上がってくる3時間半だった。

最後のはちゃめちゃ展開の30分漫才も、教室で、部室でしょうもないことしてふざけ合ってた学ラン時代からの延長線上でこの舞台に立っているのだと思うと、胸の奥底から温泉みたいにぬくい感情が湧き上がって、謎の衝動に駆られて走り出したくなる。
これはおたくがよく言う「尊い」ってやつなんだと思うけど、言葉にすると安っぽくてよくないな。なんかちょっと違うな、わたしには逆立ちしても手に入れられないという淡い絶望を含んだ憧憬も内包しているから、そんな言葉で片付けるわけにはいかないんだ。

「うらやましい」ともちょっと違うのかもしれない。
いちばん強く思う気持ちは「永遠なれ」だ。

今となっては悲しい話なのだけど、電気グルーヴのカレンダー目当てに買ったサンレコで、音楽活動を長く続ける秘訣を問われた瀧が、
「おまえの卓球を探せ! そして仲良くやれ!」
と答えていて、わたしはその言葉をずっと覚えていたくていまだにその号を手元に置いている。
奇しくも春日は電気のファンだったし、瀧にとっての卓球が春日にとっての若林なんだろうと思うといろんな意味で泣けてきてしまうな。

考えれば考えるほど切なくなるのでこの話はここでおしまい。

3/16 えいがのおそ松さん
ちょっとどうにかなるぐらい映画を楽しみにしていた。2期になって少しは落ち着いたけど、わたしはやっぱり松が好きで好きで仕方がないのだった。なんでこんなに好きなのか自分でもよくわからない。ギャグがぶっ飛んでておもしろいから? 役者がみんな達者だから? 赤塚イズムがちゃんと継承されてるから? それだけな気もするし、それだけじゃない気もする。六つ子の中で特に誰が好きとかもない、いわゆる箱推しという自分にはめずらしい現象も起きていて、だから推し松を選べないことに少しジレンマを感じていたのも事実で。

その答えが、映画にあった。まさかこんなところで見つけてしまった。

これからわたしは何度も観に行くだろう。だから何も知らず、まっさらなままで観た漠然とした印象だけしか語れないのだけど、すべてが最高だった。映画という大きなフィールドでなすべきことはすべてなされている気がした。笑いもはちゃめちゃも超展開もてんこ盛りでキャストスタッフ陣の頑張りも随所に感じられて、そして正統派な感動が押し寄せてくることに戸惑いながらもたくさん泣いてしまった。いくらバカやってもいつも根底には優しさが流れている、赤塚先生らしいまなざしにあふれた映画で、そこにもまた涙ちょろりしてしまうのであった。なんて、なんていい映画なんだ……(語彙の喪失

ここからちらりとネタバレしますよ。

仲の良さが逆にコンプレックスになって、思春期特有の反抗期も手伝って、はっきりした理由もなく仲が悪くなっていく六つ子たちに書いた、高橋さんの手紙。

「みんなとっても仲がよくて、私はそんな松野くんたちを見ているのがほんとうに楽しかった。仲間に入れてもらってる気がして、とても嬉しかったの」(意訳)

わたしが六つ子に感じていた気持ちはこれだったんだ、と思ったら涙がぶわっとあふれてしまった。
高橋さんというキャラクターを借りて、おそらく松おたくみんなが抱いている気持ちを代弁してくれたんだと思った。もしかしたら、制作陣も同じ思いを抱いていたのかもしれない。だから六つ子はどこまでも魅力的だし、圧倒的な支持を得て巨億の富を生むコンテンツになりえたんだろう。

仲良きことは美しきかな。結局この世は実篤なのです。

いろいろ泣きどころはあったけれど、初見のわたしにいちばん刺さったのはここでした。わたしなんか高橋さんと同じでひとりっこだから六つ子を見てるのがほんとうに楽しくて、決して手に入らないとわかってるから、余計少しだけうらやましかったんだ。

映画でついに長年の謎があきらかになったのですっきりです。そしてついに推し松が決まりました。チョロです(報告

さて、結局わたしは何回観に行くでしょうか。100億の六つ子にしてあげたいよね~。

3/17 米米CLUB a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019~おかわり~@パシフィコ横浜
初日、2月の府中、そしてこの日がわたし的オーラス。前回のおせきはんに続いてとてもいい内容のツアーだったので、フル装備で気合を入れて臨みました。
思えばここも専門学校からの仲間で、うち兄妹1組、夫婦1組。
2月の府中では体調がいまいちだったらしいてっぺいちゃん、前半のおのちゃんメドレーでは全然出てこなくてすごく心配だったんだけど、今回はカメラが入ってることもあって最初からフル出場、いつもより合いの手も太鼓持ち感も増し増しで、JO&CS石井のツインボーカルがセンターで掛け合いしてるのを見るとほんとうに胸がいっぱいになってしまう。唯一無二の無敵感がすごい。圧倒される。
てっぺいちゃんはMC中とか自分に自信がなくなるとBONのほうを見るくせがあって、BONもそれに笑って応えていて、おのちゃんはてっぺいちゃんに強く出られると困ったようなリアクションを返すのがほんとうにかわいくて、全員10代の頃からの仲間なんだよなあ、途中で仲悪くなったり大人の事情で立ち行かなくなったこともあったけど、再結成前より再結成後の活動のほうが長くなっていて、てっぺいちゃん自身MCで「米米は人数多いのにひとりも欠けないでやってこられて本当に幸せなことです、これからも続けていきたいと思ってます」って言うようになってて、もう、ほんとうに実篤としか言いようがないのだ。てっぺいちゃんの適当で中身のないMCに笑うメンバー、シュークの曲中に突拍子もないことをやり始める妹を見て笑う兄、約20人の大所帯がみんな笑顔で心底楽しそうに演奏してるってほんとうにすごいことだ。紆余曲折を経てここに立ってるんだと思うとぐっときてしまう。長生きしてよかったと心から思う。

米米のサービス精神ももちろんのこと、楽しそうにやってるメンバーを見るのがわたしなにより好きなんだけど、「We are 米米CLUB!」のあと「and you! you! you! you!」っててっぺいちゃんに指さしながら言われると、うれしくていつも涙目になっちゃうんだよな。仲間に入れてもらえてるんだ、わたしたちもライブを一緒に盛り上げているメンバーのひとりなんだと思うと胸が熱くなるんだよ、何年経っても。
話は逸れちゃうけど、アイドルの現場でもグループの名前を叫ばせる場面ってよくあって、だいたい「俺たちがー?」とかなんだけど、A.B.C-Zの「俺たちとみんなでー?」がすごくうれしいのは、米米の原体験があるからなんだろうなって勝手にしみじみしちゃうんだよね。ちょっとしたことなんだけど、そういうのってファン心理的にはけっこう大事な気がする。というどうでもいい話。

今は便利な時代で(年寄りの枕詞)、BONやマチコちゃんがやってるインスタに移動中やリハ中、さらには本番中の米米メンバーの写真が山ほど載っていて、ほんとうにみんな和気藹々としているから菩薩のように目を細めてしまうよ! 歳取るのも全然悪くないね! てっぺいちゃんが「50になってやっと自分の歌が歌えるようになってきた、米米だと俺は操り人形ですから」って憎まれ口叩くのも気の置けない仲間相手だからこそだよ……。わたし、ちゃんと対等に話せる、普通の感覚持った昔からの友達が同じバンド内にいてほんとうによかったと思ってるよ。ありがとうBON!!!(名指し

まったく違うジャンルの話にこんなに共通点があるとはねえ……。 三つ子の魂百までとはよく言ったもんだよ。人は手に入れられないものを潜在的に求めてしまうものですね! 仲良したちよ永遠なれ!!