オードリーANN8月13日放送

こないだアップした芸人なんとか日記の感想の補足と、東京公演終了後のオールナイトニッポンの書き起こしです。いろいろぐっと来た伝説の放送になったので、だいぶ長く書き起こしてしまいました。文字で読むとさらに感動がニバイニバーイ!ですね。高見山ですね!!
ずっと思ってたのに、勢いに任せて感想書いたら書きもらしてることに気づきました。若林の痛みを足がかりにして大人が金を稼ぐのは腹が立つけど、若林にとっては積年の思いを台本という力を借りて吐き出すことである意味カタルシスを感じることができる、これはある種の精神療法になり得るんではないかとものすごく気持ちの悪いことを考えて勝手にこの舞台の意義を見出し、でもこの物語を完結させるためには相方にこの叫びを届けなきゃいけない、要するに春日が観に来ることでこれはやっと成立するんだ!来い!忙しいだろうけど!なんとかして!という祈りにも似た念を送り続けるというね……他人の人生しょいこみ始めるともうほんとろくなこと考えねえです。自分のことで祈れっつうの!otk、きもちわるい!!
で、全otkが注目した先週のANN。結論から言っちゃいますが、すごく、すごくいい放送でした。観に来た芸人仲間の話(芸歴10年オーバーのハマカーン浜谷とHi-Hiのガンちゃんとビッグスモールンが目を真っ赤に泣き腫らしながら「夢を諦める才能のない奴が来たぞ!」って楽屋に来た話がすごい泣けた)とかどんな芸能人が来たとかそんな話をしてさんざんリスナーの気持ちを弄んだあと、最後にやっと核心に触れてくれました。

  • 若 春日さんも観に来てくれましたよね。
  • 春 あたしも行かしてもらいましたよ、ほんとに。ええ。素晴らしかったですよ。
  • 若 あのー、やめてもらえます? 本番前に楽屋裏うろちょろするの。
  • 春 いや、あれね(笑)、ほんとにさ、あたしもびっくらこいたんだけど、普通の席じゃなくてPAさんのところで観させてもらったんですよ。特別にね。
  • 若 なんでですか?
  • 春 やはりその、客席にいたら若林さんの気が散るんじゃないかっていうね。
  • 若 あのね、あなたにわたしはずっと言いたかったんですけどね、PA卓が2階席のど真ん中ですよ。PA卓の後ろに立って観てたでしょ。立ってっていうか段になってて。
  • 春 そうね、箱馬みたいな感じの段の上に椅子があった。
  • 若 あのね、開演からね、カーテンコールまでね、あなたの白いTシャツがずーっと見えてるんですよ。
  • 春 やだーーー!
  • 若 またね、でかいでしょ。肩幅。で、真っ白の……黒のTシャツ着てこいや!!
  • 春 ははははは!
  • 若 PA卓がちょっと明るいから、ほかのとこより。真っ白のTシャツ着てきやがって。ずーっと胸張って腕組んでるおまえがずーーーっと(声裏返る)ちらっちらちらっちら入って。
  • 春 えー、それ知らなんだー!演じてるときは目線は上げないじゃない。だいたいステージの目線でしょ?結構高い位置だったから全然たぶん見えてないというか、どこにいるのかさえ知られてないだろうなーと思いながらさ。
  • 若 ちょっと思い出したりね、なんとかだよなーって思いを馳せるようなとき顔上げるわけですよ。毎回白いTシャツが(笑)。
  • 春 くーーーっ。それは劇場*1でしたね。
  • 若 でもPA卓にいた人情報ではね、これは裁判しなきゃいけないなと思ってんですけどね、田中圭の絶叫のときにどうも春日さんが泣いてたと(笑)。
  • 春 ちょっと勘弁してちょうよー!
  • 若 ははははは!
  • 春 勘弁してちょうよー。
  • 若 情報が入ってるんで、これはもう裁判かけなきゃいけない。
  • 春 だれだれそのPAさん情報って。だってあたしそんな顔合わせてないよ。PAさんがいて、その後ろにいたから。
  • 若 びーちさん*2
  • 春 びーちさんは隣にいたけど。
  • 若 びーちさんは観に来てたから。それも言ったらスパイですよ。こっちからの。
  • 春 え!
  • 若 送り込んでるわけですよ。したら、田中圭の絶叫、「全部おまえのことだよ」って言うとこでどうやら泣いてたと(笑)。
  • 春 え、それびーちさん情報で?
  • 若 すぐそれわたしの耳に入ってきましたよ。田中圭のところで泣いて、俺の長台詞に入った途端水をがぶ飲みし出すっていう(笑)。
  • 春 ははははは!持ってった水をね。
  • 若 そういう情報が駆けめぐりましたね。
  • 春 ちょっとやめてちょうよー!
  • 若 どうだったんですか、その事実確認は。
  • 春 まあ、焦りましたよね。焦りはしました。
  • 若 焦った?
  • 春 うん、これやばいと。これはけっこう入ってくるぞ、みたいな。
  • 若 焦ったって、PA卓情報では泣いてたって情報が入っちゃってんだから。
  • 春 うーん、泣いてはいないけどね。
  • 若 あ、ほんとですか、泣いてたって。
  • 春 泣いてはいない。
  • 若 泣いてたって裁判員が言ってるんですよ。
  • 春 いや、泣いてはいないです。泣いてるように見えたのかもしれないけどね。
  • 若 これはそしたらPA卓にいた人全員オールナイトに呼ばなきゃいけなくなっちゃいますよ、こうなってくると。泣いてないんですね?
  • 春 泣いてない。
  • 若 大丈夫ですね?それはいいんですけど、楽屋に来たじゃないですか。終わったあと。(にやにやしながら)長居するのやめてもらえます?なんだったら挨拶こないでほしいんです、こっちも。ふーっとか言いながら楽屋入ってきて。息を吐きながらふーって(笑)。
  • 春 ははははは。
  • 若 で、「いやあ、昔を思い出しましたよ」って言いながらソファに座ったからね。「おお座るな座るな、出ろ出ろ出ろ」って。ははははは!
  • 春 いやー、まあ素晴らしかったからね。
  • 若 (すごくうれしそうに)ははははは!

(目を細めつつ)若林のうれしそうなことよ……
裁判とかいったい何目的なんでしょうか。そして春日情報を逐一若林にチクるKGBみたいなチーム付け焼き刃のみなさん。
若林の浮かれっぷりが目立ちますけど、春日が二度も「素晴らしかった」と言ったところにわたくしいたく感銘を受けましてん!!でもこのあとがさらに良いのです。

  • 若 これどう思うか訊きたいんだけど、おまえに。アンケート読んでたら、本読んだ人は知ってると思うけど(田中は)芸歴が甲本と11年。で、福田とは17年。福田のほうがコンビ組んで長いのに、なんで甲本のことばっかりなんですかっていうのが意外と多い。
  • 春 なるほどね。
  • 若 これどう思う?
  • 春 これ、単純に年数が長いからってことでしょ。
  • 若 そうそう。だから、あんなふうに甲本甲本言うのが入ってこなかったっていう人もいるらしいの、どうやら。それどう思う?
  • 春 反対。
  • 若 (笑)
  • 春 あたしはその意見反対。
  • 若 どう思う?
  • 春 いや、だから、それは違うんだよ、年数じゃないんだよね。やっぱりその濃さというか、あがいた時間の長さなんですよ。やっぱり残ってるのは。
  • 若 うんうん。
  • 春 福田との、ね?
  • 若 (笑)
  • 春 (語気荒めに)タナフクという時間は長いかもしれないけれどもね、そこはもう順風満帆というかね、ある程度成功約束されたその、
  • 若 おいおい、
  • 春 時間だったんだよ!!
  • 若 おい、
  • 春 お?
  • 若 おまえ熱いな(笑)。
  • 春 その意見は反対だからだよ(笑)。
  • 若 ははははは!(爆笑)
  • 春 イエローハーツの11年っていうのは、
  • 若 いやいや、わかりますよ。
  • 春 短いかもしれないけどその間にいろいろあったから!
  • 若 わかるわかる(笑)。
  • 春 で、漫才とあの形を発明してね、あの発明したときのあの熱の持ち方、すごく共感できたよ、あそこ!
  • 若 おまえ、俺が熱いねって言った後からの熱さ、芝居だろ?(笑)
  • 春 ふははははは!ちょっとね、演出加えちゃいましたけど。
  • 若 はははははは!まあまあ、まったく同じことを俺は圭ちゃんに説明したのよ。
  • 春 うん。だからあたしもね、思い出したと。いろんなことを。
  • 若 言ってましたよ。「昔思い出しましたよ」って言いながら、圭ちゃんの椅子に座ったから。
  • 春 ははははは!
  • 若 「はいそこ圭ちゃんの椅子です!」って俺がね(笑)。
  • 春 田中圭って書いてなかったからわかんなくて座っちゃったけど。共通した部分もいっぱいあったし。
  • 若 うん。
  • 春 甲本のほうがスーツを買ってもらったじゃない、彼女に一張羅の。あれあたしも買ってもらったことあってさ。
  • 若 葉っぱに?*3
  • 春 葉っぱに。
  • 若 へえー!
  • 春 初めてのオンバトんとき。
  • 若 漫才用のスーツ?
  • 春 漫才用の灰色のスーツを買ってもらって。
  • 若 へえー、そんな話初めて聞いたわ。
  • 春 そう、思い出した、あたしも。あったわーと思って。
  • 若 へえー!
  • 春 買ってもらって臨んで、117キロバトルって(笑)。
  • 若 ははははは!

(SE)パンパカパーン

  • 春 パンパカパーンじゃないんだよ!せつねーと思って。舞台の中でも滑ってたでしょ?玉3個だった、あたしもさ。思い出すわー。
  • 若 回るよな、そういうの。俺も漫才を思いつく瞬間があるじゃん。家でトークライブのビデオとか見てて「おまえのつっこみ違うよそこ」って言ってるとこのフリートークがすごい受けてて。それをぼーっと見てて、ちょっと待てよと思って。これつっこみの場所が違う、ニュアンスが違うっていう、つっこみができてないってことの漫才をやればいいんじゃねえの?これをこのままやればいいんじゃねえのと思って。で、思いついた瞬間気持ち悪くなったもん。
  • 春 ははははは!
  • 若 これウケんじゃない?って思うから。うーわーってなって、これ春日にすぐ言わなきゃと思って、原付乗って信号で止まってたら横に警官が自転車で止まったの。そしたら俺警官に言いそうになったもん、危うく。
  • 春 はははは。
  • 若 「ちょっと俺すごいこと思いついたんですけど聞いてくれません?」って(笑)。
  • 春 はいはいはい。
  • 若 そいで高円寺のジョナサンに春日呼び出して「春日、あんま大きな声で言えない、芸人がどこでネタ合わせしてるかわかんねえから」っているわけねえのに(笑)すごい小声で「こういう漫才で、俺が『最近やせたいんですよ』って言ったら『誰に話しかけてんだよ』ってつっこんでくんねえ?」っつって。「『それつっこみ間違ってるだろ』って、『なんで今つっこんできたかわかんないんですけど』とか『お客さんだよ』とか、ずーっとそれをケツまでやるんだよ!いけるぞ俺ら!」っつったら春日が「どういうことですか?」っつって!!
  • 春 ちょっとわからないね。
  • 若 ははははは!
  • 春 「それはなんなの?」って
  • 若 「わからんかもうー!」って(笑)。「もう1回説明するぞ、いいか?」って、気持ち悪くなったもん(笑)。
  • 春 ははははは!

さらっと話してるけどこれかなり深イイ話ですから!ていうか春日!春日が「あがいた時間の長さなんですよ」って言った瞬間に胸の奥がじゅんってなりました。ほんとに。若林もうれしそうでねえ。スーツのくだりでへぇボタン連打しまくっちゃってるもの。
ドリさんの話は、画が見えるんです。エピソードのそれぞれに迷走しているふたりの姿がくっきりと立ち上がってきて、わたしはいつも切なさに胸をぐーっと掴まれてしまう。あこがれにも似たその切なさはわたしをさかんに駆り立てて、どんどんその先の未来を見たいと願ってしまう。過去も未来も、もっと教えてほしいと思ってしまう。ラジオの前でわたしは、ひとり泣き笑いの顔をしていました。
感傷とは無縁に見える春日も、この芝居を観たことでさすがにスイッチが入ったみたいでした。めずらしく語ること語ること。

  • 若 俺らからしたらもっとしんどいこと全然あるじゃん、あの物語。もっとひどいこと言われるし、ひどい目に遭うじゃない。意外と知らないみたいね。あ、そうなんだ芸人さんってって思うみたいで。
  • 春 だからねえ、あれをね、ほんとにね、いろんな地方で公演したほうがいいと思う。
  • 若 ははははは!
  • 春 こうやってテレビに出てる芸人たちがああいうところを越えてやってきたっていうのを、やっぱ知ってもらわないといけないなっていうね。
  • 若 あれは限られた時間ですから、ぽんぽんぽんとつらいこともあったり楽しかったこともありますけど、あんなもんじゃないからね。普通につまんないって言われるしね。
  • 春 「まだやってんの?」みたいな。
  • 若 はははは!
  • 春 「あれ?まだやってた?」もあるしね。
  • 若 もっとなんですよね。
  • 春 だからあれ見終わったあともあたしも、こうやってテレビとか出してもらったりとかラジオをやらしてもらうっていうのはいかに奇跡的なことで、非常にありがたいことなんだなって思いましたよ。
  • 若 俺もね、これで結構芸人がどういう感じかってわかってもらえたんだなあって思ったら、千秋楽のカーテンコールで3回目に出ていくときに圭ちゃんが「若林さん、一発ギャグやったほうがいいんじゃないですか、一発ギャグ!」ってね。あんまわかってもらえてねえのかなって(笑)。
  • 春 そういうのでいいのかもしれんけどね。
  • 若 そういうとこでいいんでしょうね。
  • 春 出てきて見て笑ってもらうみたいなね。まあ、いろいろ思い出しましたよね。ツッコミとボケが逆の頃にね、あたしもやっぱちょっと、もしかしたらやめた方がいいんじゃないかみたいなね、思った時もありましたからね。
  • 若 や、それはやめたほうがよかったですよ、その時は(笑)。
  • 春 キャー!くやしー!(エコー)
  • 若 ははははは!
  • 春 ボケとツッコミが逆になったから、そのシステムを開発したからね。幸いにもやめずに今やってますけどね。ラジオを。
  • 若 じゃあ、ヘタなつっこみを漫才にしたほうがいいってときに、ツッコミとしては判決が出ちゃったからやめたほうがいいかって思ったの?おまえ。
  • 春 いや、あのときよりもちょっと前の段階だよね。
  • 若 あーそうなの?
  • 春 うん。そこを生かすように若林さんがしたから。
  • 若 あ、ツッコミが自分がヘタで悩んでたのね。芸人をやめようかなと。
  • 春 そうそうそう。これはよくないんじゃないかと。それこそね、あたしがやめたほうがいくんじゃないかと。ひとりで。
  • 若 今からでも遅くないんじゃないですか(笑)。
  • 春 くーっ!わしはあきらめんぞ!!
  • 若 (笑)どうも、オードリー若林でした。ありがとうございました。
  • 春 このあとまた、夢でお会いしましょう。アディオス!

春日……!!!(滂沱
やたらと言葉を切りながらではあるけれども、めずらしく照れずにまっすぐあの頃の苦悩や本音を語る春日、しかもそれが放送終了2分前ぐらいのこと。話を聞きつつ若林もいろいろ思うところはあったろうけれど、そこからきれいなオチに持っていくふたりの腕の上げっぷりに、わたしはまたもや胸がいっぱい夢いっぱい!!ふたりが中学校からの友達ということを考えると、なおさら思いが膨張していきます。
若林があんまり芸人ってどういうもんかわかってもらえてないんじゃないかとこぼしたあと、「出てきて笑ってもらうっていう、それでいいのかもしれんけどね」と言った春日のひとことに特にぐっときました。そのあとオウム返ししちゃってるけど、若林もきっとそんな春日の言葉に今まで何度も助けられてきたんだろう。こんな絶妙なバランスの上で成り立っているふたりが出会ってくれた偶然に、わたしは三顧の礼を捧げたいくらいです。
長々とお付き合いありがとうございました。ラジオってほんとにいいな。オードリーって、ほんとにいいな。シンプルな結論に達することができて、わたしはとても幸せです。
余談ですけど、田中圭くんのことをやたら圭ちゃん圭ちゃん言ってて何度も「圭ちゃん…」て思いましたよね。仲良くなるとちゃん付けするタイプの人間なんだな。気を許すと今でも春日のこととしちゃんとか言っちゃうからな。ぬう、愛され若ちゃんめ……!!(自分の頬を殴打

*1:春日語で「失敬」の意。失敬劇場の略。OK牧場の反対語

*2:スタッフ。びーちさんなのかりーちさんなのかいまだに表記もわからない

*3:元カノのことを平気で失礼な呼び方する人たち