もうすぐ会いに行くよ

今年もロックインジャパンフェスの出演者が出そろい、タイムテーブルが発表され、グッズの事前受付も始まった。
つい4ヶ月前までは「今年も」なんて確かなことはなにひとつ言えなかったのに、時が経ち、いろいろな人たちの尽力のおかげで、例年通りいつもの夏が近づいている。
しみじみとうれしい。
当たり前だと思っていたことが足元から崩れ去る不安を前にして、わたしは茫然と立ち尽くすことしかできなかったから。
被災地で唯一なじみのある場所がひたちなかだった。だから壊滅した勝田駅の惨状を見たとき、申し訳ないけれどいちばん衝撃が走った。もう無理だ、こんなになっちゃったら夏までなんて間に合わない。それまで何度も津波に家が流される映像を見てきたのに、ここまではっきりと絶望が迫ってきたことはなかった。そこで初めてわたしは思い知ったのだ、いかに自分があの土地を愛していたかを。
フェスまで待てない、早く会いに行きたいと思った。
ひたちなか海浜公園の営業開始がほどなくして発表され、わたしは家族を連れて5月の連休明けのひたちなかに向かった。わたしが愛する、花盛りのあの公園を親にも見てもらいたかった。わたしがどんなところで毎夏はしゃいでいるのかを見てもらいたかったのだ。
たどり着いたひたちなかはまだ少し肌寒かったけれど、どこまでも抜けるような青空で。

一面のネモフィラ
それはあまりに美しく平和で、拍子抜けしてしまうほどだった。風がきらきらとそよいでいた。

チューリップは少し盛りを過ぎていたけれど、夢みたいな景色が広がっていた。

ソーダ味のソフトクリーム。さっぱりしててほんとにうまい!!

ひたちなかといえばハム焼き!毎日でも食べたいぜハム焼き!
いくら園内を歩き回っても、地震の爪痕はひとつも見つからなかった。もしかしたら人目に触れないところに被害が出ていたのかもしれないけれど、いつも通りのただひたすらわくわくする、水と緑のあふれる広大な公園だった。
ソフトクリームをなめながらふと空を見上げたら、虹が出ていた。

アーチ状じゃない、こんなにまっすぐな虹を見たのは初めてだった。雨も降ってないのに、いったいどうしたことだろう。理屈では説明のつかない情緒的な意味を勝手に感じたりして、じんわりと胸の奥がにじんだ。
きれいだなあ。世界はこんなにも美しいんだ。
今年のジャパンフェス、初日のトップバッターはサンボマスターだ。きっと彼らは福島に向けたあの歌を歌うだろう。とても意味のあるトップバッターになるだろう。きっとわたしはグラスステージの真ん中で、灼熱の太陽に照らされながらだらだらと泣いてしまうだろう。10年間ずっと一緒に見続けた人ともう思いを分かち合えないのはさみしいけれど、それを含めてわたしもひたすら前を向くしかないんだろう。すべての音楽が、311前と違って聞こえるんだろう。
待ってろひたちなか!全力でお金落としにいくから!!