おにぎりデトックス

だけどー心なんてーお天気で変わるのさー
まさにそんな昨日でありました。1日寝れば大丈夫、気持ちが全部リセットされる。今日だけなんとか乗り越えれば、きっと明日は全部ひっくり返る。そうやって自己暗示をかけながら昨日をなんとか持ちこたえました。今までそういうクライシスっぽいことは何回もあったけど、久しぶりに極限状態まで追い詰められて、ふとした瞬間に踏切を越えかねない状態だったなあ、よく今日を迎えられたなあ、曇り気味だけど明るい空を見上げながらしみじみそう思います。
これまで命を絶つ人の気持ちがずっとわからなくて、よくそんな勇気があるなあ、よっぽど思い詰めたんだろうなあと、異星人でも見るような思いで訃報を眺めていました。でもここ2年ぐらいでオセロの駒がいっぺんに裏返るように状況が一変し、確かなものがひとつもなくなってしまった現実を目の当たりにして、わたしは向こう側に行ってしまった人たちの間際の思いを想像できるようになりました。勇気を振り絞って熟考の末に、飛び込み台の上から飛び込むような気持ちで踏み出した人なんて、そんなにいないような気がするのです。がらんどうな気持ちが積み重なって、道行く人すべてが幸せそうに見えて、ああ、なんだか疲れちゃったなあ、一歩踏み出したらあっち側に行けるんだ、行っちゃおうかな。そうやって見えざる手に導かれるようにして、命の糸を切ってしまうんだろう。そんな想像ができるようになったのです。
生きてりゃなんとかなる、生きたくても生きられない人がいるんだから命を粗末にするな……確かにそれは正論だし、特にそれは311以降さらに意味をもった言葉になったけれど、わたしにはそんな言葉を責任もって強く言い切れる自信がないのです。生きていくのがつらくてつらくてどうしようもなかったら、超えてしまうのは仕方ないと思うから。正しいことを正面切って断言できる人は、とても強い人だなと思ってしまう。
昨日はまたもやぐったりと目が覚めてどん底な気持ちで出社、初めての役割を与えられてテンパりまくる1日だったので仕事中はそんなに余計なことを考えずにいられたのですが、雨の帰り道、ついにはひとつもプラスの発想を手に入れられず、このままはかなくなっても何の未練もないなあ、ついでに夜ごはんもないなあ、みじめな気持ちを持て余しながら乗り換えの駅にあるおにぎり屋さんでおにぎりをふたつ(納豆紀州梅と鮭ごま油)を買って帰りました。そんなにおなかすいてなかったけど、部屋にへたりこんだらちょっとだけ食欲がわいてきて、やけっぱち半分にまだあたたかいおにぎりをほおばりました。
おいしいなあ。ちょっとしょっぱいけど。おいしいなあ、おにぎり。
そう思ったらぼろぼろ涙がこぼれてきたのです。ああ!あれだ!千と千尋でいちばん泣ける、ハクのおにぎりを千がダダ泣きしながらほおばるシーン!まったくあれと同じ状況がわたしにやってきたのです!いちばん隣にいてほしいハクはいないけど、おにぎりってやっぱり安心するのかな、しんどいけど、おにぎりはやっぱりおいしいよ、ああでもやっぱりごま油がちょっとしょっぱいよ!おいしいけどしょっぱいよ!
幼女がやるからかわいいのであって、散らかり放題の独り暮らしの部屋でおにぎりほおばりながら号泣するオーバーサーティなんてこの世でいちばん醜いもののはずですが、おにぎり泣きをしたらなんだか不思議と心が軽くなったのです。がんばって今日を越えよう、明日を待ってみようって気持ちになれたのです。
というわけで、わたしの精神安定剤はあったかいおにぎりということが本日判明いたしました!すごい!さ、さすがお箸の国の人なんだな…!自分が裸の大将すぎて泣けてくるぜ!みんなもどうしようもなくつらくなったら千と千尋ごっこしてみるといいお^^(何の勧誘