感傷中毒患者、走る
守りに入ったつもりはない。どんどん吸収したいし、新しいものも知ってゆきたい。その気持ちは絶えず持っているはずなのに、若い感性はわからないと首を振ってしまうことがある。これ以上好きなものを増やしたくないという気持ちとあいまって、すでに好きなものの中で息をしていたい。特に音楽に関して、最近のわたしはそんな感じだった。
でも、突然出会ってしまった。もうじゅうぶん音楽好きには有名なバンドだし、後追いはなはだしいんだけれど。
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夕暮れの井の頭公園でコーラの空き缶蹴飛ばして
もうだめかもしれないとこぼした君の横顔すごくきれいで
それはハッピーエンドなんだ
ハッピーエンドなのさ
どうせどこにも行けないのならずっとここにいてもいいんだよ
“ハッピーエンド”
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どこにもいけない彼女たち 駅の改札を出たり入ったり
変われない明日を許しながら なんとなく嘘をつくのさ
16のリズムで空をいく 可愛くなれない性格で
全然違うことを考えながら 優しいんだねって嘘をつくのさ
“16”
ふと、ドラマのQ10と歌の世界がオーバーラップして見えた。
「僕たちは心に空洞を抱えながら生きていく」それを是でも否でもなく、ただあるがままの現実として受け止める潔さを、あのどこか淋しさが漂い続けるドラマのトーンからわたしは毎回感じ取っている。生きていくんだ、それでいいんだって、思わず話題の玉置浩二の田園になっちゃうけど、それは決して後ろ向きな諦めとは違う。そうやって僕らは明日を目指す、不器用に世界とつながりながら。いつまでも倒れているわけにはいかないから。ドラマの意図は、もしかしたら違うかもしれない。でもわたしはそういうやさしい物語としてQ10をとらえている。アンディモリの音楽は、その風景にすごく近いところで鳴っている気がしたんだ。祝祭的でもあるけれど、でもありのままの現実という風に吹かれている感じ。
そのセンチメンタルはいつかお前の身を滅ぼすのかもしれないよ
感傷中毒の患者禁断症状映画館へ走る
でもなんかやれそうな気がするなんかやらなきゃって思う
だってなんかやらなきゃできるさどうしようもないこのからだ何処へ行くのか
“すごい速さ”
わたしが新しい世界に手を伸ばしている理由を言い当てられた気がした。日常に溺れそうになっても、わたしはどんどん前のめりになって走るよ。だってこんな素敵な出会いが待ってるんだもん!やめらんねえ!