うっかりキュン

「咆号」
脚本:又吉直樹/演出:高橋崇
出演:平成ノブシコブシ、ピース、渡辺直美
北沢タウンホール

言語遊戯王で最近のお笑いの人をひさびさに見てぱあああって世界が広がっていた矢先、おともだちに声をかけてもらったので「ナウゲッタチャンス!」とばかりに行ってきた。だって吉村と綾部がわりと好きだから(ただのミーハー
せっかくWAKUWAKUしてたのに、会社のPCを落とそうとした瞬間に客先から電話かかってきて足止めをくらい、結局会場に着いたのが開演30分後。呪ったよ!入ったときすごく面白そうなコントやってたし!最初から観たかった……。
ええと、終演後おともだちと飲みながら話していたんだけど、どうして芸人ってお芝居やりたがるんだろう?と思ってしまう。オムニバスコントみたいのがつながってひとつのストーリーになってるんだけど、普通に合同コントライブにすればいいのになって思ってしまった。又吉の独特な世界が味わえるホンもそれなりによくて演者もみんな達者だったけど、なんというか見せ方というか、すごく惜しい感じがしてしょうがなかった。それにしても初めての北沢タウンホール、わたしの中では「あのgenicoをやった会場!」ってイメージをいまだにひきずってるんだよなあ。すごく間に合いたかったよあの時代!!って話が逸れました。お笑いの現場ってすごくひさびさで、若くてけらけらよく笑う客層にちょっとなじめなかったり、最後のコントの途中、徳井がみんなを追いかけてちょっとした乱闘みたいになるとことかに「わあ、若い……」ってちょっと遠い目になったりしたけど、でもやっぱり現場に入るととっても楽しかった。わたしがお笑いに通っていたころは、あんまりテレビに好きな芸人が出ていなくて、だからこそ観に行っていたんだけど、今ってなんでもテレビやネットで観られてしまう気がして、たぶんわたしはそのタイミングでお笑いから遠ざかってしまったんだと思う。でももちろんなんでもかんでも映像化されるわけでもなく、こういう狭いところでオンエアに乗らないものを観ている、そのしみじみとした喜びがひさびさによみがえってきたんだ。それはでも悪魔の囁きに似ていて、お笑いってキリがないからやめどきがわからなくなる。それを経験してるから、どうやって踏みとどまろうか、ちゃんと自分がしっかりしなきゃ!って変な構え方で今お笑いと向き合っています。なぜなら、ミスター破天荒(吉村)に心を乱されたからです。
ノブコブ吉村ってうるさくてうざくて残念なイケメンってパブリックイメージだよなあって、あんまり詳しくないのでぼんやり思っていたわたくし。直美ちゃんとの夫婦コントのとき、直美ちゃんをすごい勢いで罵倒するくだりがあるんだけど、罵詈雑言を吐きまくって直美ちゃんが素でちょっと傷ついた顔になったときに、軽く直美ちゃんの頭をぽんぽんってやってて直美ちゃんがうなずいていて、あああ…!ってなったんでした。ずるいよそれ!最後のトークで、本番中に直美ちゃんがあんまりお風呂に入らないから吉村が切れて、その言葉に直美ちゃんが泣きながらハケてっちゃったという事件があった夜に「あああ俺ほんとひどいこと言っちゃった…!」ってものすごく後悔してたってバラされてたしな……。そんでとどめのエピソードは、前日にキングオブコントの決勝進出が決まったピースに対して、自分らは落ちたのにやたら勢いよく「さてどういう作戦で行く!?」って本気で激励(?)するその熱さね……。いいやつすぎる!
とまあわたしはほんとうにわかりやすいツボでできているわけですが、「暑い毎日ですけれども、今年は○日連続で猛暑日が続いているそうですよ」って演芸場みたいなトークの締め方をする綾部とか、突然振られて軽快なステップを踏む綾部とか(綾部の貴重なS字ジャンプを目撃)、直美ちゃん演じるヨメのカラオケ18番が山口百恵って設定とか、どうしてわたしは好きになるものがみんな昭和な振る舞いをするんだろうとモキュモキュしてしまいます。みんな年下なのにさ!(綾部はそんな変わらないけど)あと、直美ちゃんの芸達者っぷりがすごい。ほんとすごい。特に声が最高に素晴らしい!洋画の吹き替えとかやってほしいよー。
また自己と向き合わされた感がありますが、とってもおもしろでした。あーやっぱお笑い面白い。あと、実は初めての生吉本だったのよね……。SHI・N・SE・N!!