トド襲来

いい加減に夢カテゴリを作ったほうがいい気がする。おとといもまたシュールというか狂気というかホラーというか、要するにまた悪夢を見た。
断片的にしかおぼえていない。
海に続く道を歩いている。海はまだ見えないけれど、わたしはこの道が海に続くことを知っている。まわりには誰もおらず、道のあちこちにクジャクの生首が落ちている。頭のてっぺんに飾りがついていることから雄だとわかる。どの生首もまぶたを閉じて安らかな表情を浮かべていた。
ここを越えるともう海だ、というのもわかっていた。なんとなくイヤな予感がしていた。海を見てはいけない、わかっているのにわたしは歩みを進めてしまう。落ちている生首の数は増えるばかりだ。
いよいよ海が見えた。想像以上に雄大な景色で、岸壁に波が大きく打ち寄せては砕けていく。海面には服を着たまま悠然と平泳ぎをしている男性の姿が見え、その隣ではフェリーほどの大きさのトドが、今にも上陸しようとその巨体を弾ませていた。
トドがものすごい迫力で、なんだかB級のパニック映画を思わせ、ああ見なければよかったと思った。気づいたら目の前に白塗りの顔の男性が立っている。なんて言われたかはもう忘れたが、「みーたーなー」とか「世界の終わりへようこそ」とかそんな類のことを言われたような気がする。ああやっぱあの丘を越えなければよかった。引き返せばよかった。男が追ってくる。全速力で引き返すが、恐怖心は不思議と湧いてこない。ひたすら見なければよかった、海になんて来なければよかった、そんな後悔の思いばかりが押し寄せてくるのだった。
疲れ果てて目が覚めた。
ああ、あのトドものすごかったなあ。夢の中で、これは牙がないからセイウチじゃない、トドだと冷静に判断していた自分がおかしかった。また愛$さんの写真でも枕の下に敷いて寝ようかなあ。また夢見の悪い星回りに入ってしもうた。