黄泉がえり

篤姫が愛した人々が、みんな彼女に会いに来る。そんな優しい展開がひたすらにうれしくて、涙がほとほとと落ちた。
なで肩の将軍はとてもずるい。後ろ姿があまりにも4年前のあの姿を彷彿とさせて胸が詰まり、葵の御紋で我に返った。彼女は愛する人を前に天璋院ではなくあの頃の篤姫の表情に戻り、よみがえった人は果てしなく優しく篤姫を見つめる。何を思えばいいのかわからずに、ただひたすら画面を睨むように見つめながら、わたしがひっきりなしにハナをすすっているのは風邪っぴきだからだと思いこもうとした。
あおいちゃんは篤姫を、天璋院を生ききったと言っていた。画面からにじみ出る凄まじいまでの迫力、1年前のおかつが嘘のように貫禄を増し、愛しさや悲しみや切なさを全部背負ってそれでも強く進み続ける天璋院が、あおいちゃんという器を借りてよみがえったとしか思えない。彼女が天璋院そのものだから、「すごい」という感想にならないのだ。
あと2回で終わってしまう。もう、終わってしまう。こんなに1年を短く感じたのはひさしぶりだ。最初から最後まで濃度の変わらないドラマなんて、この後どのくらい観られるだろう。やはりわたしは、幕末の動乱とそれに翻弄される人々の切なさが好きだ。そうあらためて実感できたことがうれしい。それにしても家定の中の人はずるいよなー。こんちくしょう。