想うということ

リニューアルしてから初めて、バインを観るために赤坂BLITZに行った。通い慣れた赤坂の駅は様変わりしていて、なんだかとてもおしゃれになっていて少しよろめく。緩い階段を上がると、すぐにBLITZがあった。ACTシアターとBLITZしかなかったあの光景がいまだに脳裏に焼き付いているから、ちっちゃいイクスピアリみたいな風景に戸惑って、なんども看板を確認してしまったよ。中は前よりちょっと狭くなった印象。それともわたしの感覚がAXやZEPPに惑わされてるだけなのかな。今回は日和って2階席を取ってしまったんだけど、正解だった。バインはただ拳突き上げて暴れる音楽じゃないし、じっくり聴きたいから、立ってるとたまにしんどくなるんだ。バイン追っかけて10年目にして、わたしはついに2階席を選ぶまでになってしまったよ。お互い、年を取るもんだねえ……(誰に話しかけてるんだ
とにかくセットリストが秀逸だったので、1曲1曲噛みしめて聴いてたら「古いやつを」と田中が言った。そして鳴ったのは、「想うということ」だった。
あまりに予想外のことに混乱してたら、そんなわたしをあざ笑うように記憶が勝手にあふれてきた。この曲が収録されている「here」というアルバムは、わたしの人生を変えた1枚だった。このアルバムで転職を決意し、このアルバムでバインにのめり込んで初めて遠征をし、初めてネットで友達ができた。バインのコピーバンドまで作った。新潟で、神戸で、広島で、いろんな場所でバインに会い、根性でサイン会にも行った。今でも覚えてる、会社を早退してひとりで出かけた今は亡き新潟フェイズで、この曲が鳴らされたときの湧き上がるような感動と、赤い照明に沈む4人の姿を。そしていちばんたくさんバインを観たのが、たぶんこの赤坂BLITZなのだ。こんなに助けられた曲なのに、アルバムのツアー以降まったくライブで聴くことのなかった曲が、新しくなったBLITZで急に鳴り響いたら、そんなのもう泣くしかないじゃないか。出会ったときのバインとは違うけど、でもあのときとまったく同じ声で田中は優しく歌うのだ。そんなふうに歌われたら、勝手に23のわたしが戻ってきちゃうよ。どうしてこんな曲を今、ここで歌うかなあ。ただひとつ心強かったのは、あの頃から隣でバインを観てた人が今もわたしの隣に座ってるってことだった。だから、また余計泣けた。ちくしょう泣かせんなバカ!!(逆ギレ
バインに会えてよかった、ずっと好きでいてよかったと思える、わたしのバイン歴10周年を飾るいいライブになりました。あとは田中がヘンなパーマをやめてくれれば言うことなしだね!エウレテリアもスレドニも聴けてほんとうに満足です。以下、拾いもののセットリストを隠します。
Sing/CORE/スレドニ・ヴァシュター/Suffer the child/冥王星/ジュブナイル/想うということ/指先/スラップスティック/鏡/エウレテリア/また始まるために/ランチェロ'58/Two/Wants/女たち/アンチ・ハレルヤ/フラニーと同意/FLY/超える/Glare/(En)公園まで/報道/ミスフライハイ