情熱に届かない

情熱大陸が、きらいだ。
がんばれてない自分と否応なしに向き合わされるからだ。のんべんだらりと、人生になにも結果を残せてない自分がブラウン管の向こうに映るからだ。しかも今日は、ネクストジェネレーション特集とかいって、20歳から25歳の若者を取り上げるなんていうから、ぜったい観るもんかと思っていた。しかしザッピングをしていたらぶち当たって、あろうことか見入ってしまった。引き込まれてしまった。
番組が終わって、ひざを抱えた。前途ある若者がもうすでに誇らしいことをしているのに、わたしときたら、もう。
そう言ってひざを抱えて、でもそこで終わってしまう自分を知っているから、さらにフラストレーションがつのる。ならやればいい、奮起すればいい、だけどそこに行き着かない、ただ「自分なんて」とつぶやく自分が揺るぎないから、ああどうしようもないダメ人間だ、そしてネガティブな思考がどんどんループする。
あの番組は、わたしの焦燥をあおる。できない自分がどんどん浮き彫りになる。でも、輝いている人の人生はかくも魅力的だ。だから引き込まれる。観てしまう。きらいなのに、観てしまうのだ。
自分に折り合いをつけられないままここまで生きてしまった。何になりたかったのか、そうあらためて胸に聞いてみてもはっきりとした答えが出てこない。何かになりたかったのは確かなのだ。しかしぼんやりとした「何か」に手が届きかけて、そこで満足してしまって、あとはどんどん「何か」から遠ざかっていく。目の前の快楽におぼれて、自分の中の優先順位が下がっていく。それをわたしは、手を伸ばすこともできず、ただ乾いた目で見送るのだ。ああ、いってしまった。そう言って簡単にきびすを返してしまう。
しかしそんな自分を無理やり方向転換させようとするのも、また違うと思う。それは情熱ではないからだ。どこに向かえばいいのか、自分の足下すら見失ってしまう。結局は居心地のいいお湯につかって、それを曖昧にしてしまうのだ。ひたすら、同じことのくり返し。
わたしは、30をすぎてなお、何を青い、そして甘いことを言ってるんだろうなあ。たいして切羽詰まってるわけでもないのに、どうしてこう衝動的にこんな感情が湧き上がるんだろう。一晩寝ればたいてい治まってしまうのに。
前向き、とかじゃないのだ。葛藤も苦悩もあったはずなのに、投げっぱなしで行方不明になってしまうだけ。今日も書いたらすっきりして、明日はまたのんべんだらりに戻るんだろうな。自分が凡人であることを受け入れるのがつらかったって言ったら、みんなに笑われるだろうけど。ハタチすぎてやっと受け入れたら、すごく楽になった。楽になったけど、飲み込む過程が地獄だったから後遺症がしつこくて、たまにこうやって再発するんだ。ウザくてすいませんね。ほら、寝たら治るから。ドラクエと一緒。お父さんお母さん、脳天気なDNAをありがとう。おなかがすいたときと、めんどくさい気持ちになったときは、寝るのがいちばんだぜ!問題先送り?その言葉はNGワードだぜ!寝るぜ!