ヘイ、ミスター

ずっと、ミスタードーナツのドーナツに焦がれている。
どうしてミスドはお店がこんなに少ないんだろうか。ドーナツブームの昨今、なんとかクリスピードーナツとか、ドーナツプラントとか、なんだかしゃれたドーナツがたくさんあるけど、わたしはいちばんミスドがすきだ。
しかし、ミスドが近所にない。まったくない。
ポンデという名のライオンがとてもすきだ。ポンデという名のドーナツもとてもすきだ。でも、めったなことじゃないと食べられない。わざわざ足を伸ばさないといけないところにしか、ミスドはない。
こないだなんて、新潟でミスドに入ってしまった。どうしても食べたかったからだ。
焦がれ続けて、もうだいぶ経つ。小学生のとき東中野の塾に通っていたのだけど、塾帰りにはいつもミスドに入り浸った。まだグッズがオサムクラブの時分だ。友だちとがんばってポイントをこつこつためて、お手玉をもらった。友だちと半分ずつわけあった。なつかしい。あの頃は自分が幸せだということにまるで気づいていなかった。
食べたいときに、あなたはいない。なんとせつない。要するに、今食べたいのだ。明日でもいい。ミスドのために電車を乗り継ぐのか。わからない。しかし、食べたい。