家を出る

篤姫を観ています。2回くらいうっかりして飛ばしてしまったけど、かろうじて観ています。もう篤姫だ!と思うと、1週間ってあっという間。
前回、おかつ(あおいちゃんです)が、とうとう島津斉彬の養女になるべく家族の元を離れることになりました。まったく身分の違う世界に行ってしまうので、二度ともう家族に、娘に、妹に、そして好きな人に会うことが叶いません。運命の日の前日、父は娘ときちんと向き合うことができずそわそわと話をそらし、母は気丈にこれからのことを娘に諭し、兄は酌をしたおかつに「お前が酌をした酒なんてまずくて飲めるか」とつっぱり、尚五郎さん(瑛太です)は赤ん坊のころから肌身離さず持っていた大切なお守りを、身を切られるような思いとともに交換します。
そして翌朝、かごに乗っておかつはにぎにぎしく今和泉島津家を出発します。見送った後、父はひとり庭で男泣きをし、気丈に振る舞っていた母は、娘の名前を呼びながら泣き崩れます。尚五郎さんはおかつの乗ったかごが自分の居場所にさしかかると、懐から交換したお守りを取りだしておかつのほうにかざして見せます。かごの隙間からその様子を見たおかつは、自分もあわててお守りを取りだし、尚五郎さんに向かってかざします。かごが行ってしまうと、尚五郎さんは数歩かごをよろよろと追いかけ、そしてひざから崩れ落ちます。
おかつは、涙を流すことはありませんでした。自害した乳母の菊本に生前言われた「女の道は一本道。引返すは恥にございます」という言葉を胸に刻んでいたからです。
泣けて泣けて、仕方がありませんでした。あおいちゃんはもちろんなんですけど、瑛太が。瑛太が。あまりにもよすぎます。お父さんの長塚京三も、お母さんの樋口可南子も、みんなすばらしいです。今こうやってあらすじを書いているだけで、のどの奥がつーんとなります。
篤姫を観た日、わたしは実家にいました。観終わって、帰り支度をして、父親に車で家まで送ってもらいました。マンションについて降りようとすると、「また来週くるといいよ」と言いました。毎回言うのです。わかってる、だから週1で来てるじゃないか。実家に戻っても、わたしはあまり父親としゃべりません。父親はすぐ自室で寝てしまうので、そんなにずっと顔を合わせているわけではありません。わたしはもう31です。でもやっぱり娘っていつまで経ってもそういう存在なのだなあと、あらためて思いました。