菩薩を背負う

四国に行った時に第七十五番札所、善通寺に寄った。テンションの上がった連れは霊場巡りの地図帳と般若心経トートバック*1を買っていて、特に何も買う予定のなかったわたしも、あまりに充実した御利益グッズの数々に少し心を動かされる。
ふと、誕生石カラーの数珠が目にとまった。別に信心深くはない、しかしちょっとしたシャレと洒落で、常に腕に巻いておくのもいいかもしれんと思った。以前遊び半分でやった色診断で、あなたは紫を多く持った方がいいと言われた矢先の出来事だった。
その日から、紫のガラス玉を常に腕に巻いている。風呂に入る時もネックレスやピアスつけっぱなしの人をずっと理解できなかったのだが、しかし逆に少し憧れもあり、それをまねて風呂でも腕に巻いたままだ。御利益など信じちゃいないが、ゴムで伸び縮みする気軽さも手伝って、左腕には常に弘法大師のご加護が宿っていることになる。
マンションは熱がこもってあたたかいと聞いたのに、ひとり暮らしの部屋はやたらとうすら寒い。なのでわたしはいつも黄色いパーカーを羽織っているのだが、その背中には象に乗った菩薩の絵が描かれている。
何度も言うが、信心深くはないのだ。しかし腕と背中に仏を宿していることに気づいた瞬間、途端に神妙な気持ちになったことは否めない。「いいことがありますように」と不真面目で漠然とした願いを口走っても、仏様は許してくれるだろうか。

*1:「どういうシーンで使うのか」と問うたら「え?普通に」と答えた。普段使いのアイテムとして購入したらしい