だろわいよ
昨日、ブックファーストに寄ったら平詰まれていてびっくりした。
小林賢太郎戯曲集: CHERRY BLOSSOM FRONT 345 ATOM CLASSIC
- 作者: 小林賢太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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「富樫君。イソガシイという字は、心をはさむと書くのす」
「違うぜ」
全部思い出す。全部よみがえってくる。あのサンモールの少し端正な空気も、斜め上を見上げる首の角度も、陽の光を思わせる照明も、暗転になった後の小さなため息も、全部憶えている。
ひとつひとつ文字を追いながら、そうそうそうとうなずきながら、時たまセリフを読み上げながら、少し泣きそうな気持ちになった。なんておもしろいんだろうと、笑いながら怒る竹中直人みたいな気持ちになった。
そうだ。あの頃のラーメンズと、ラーメンズを取り巻くあの空気がすきだった。あの頃は冷ややかで清々しい水壁のようなものが、常に演者と客の間に立っていたような気がする。その温度がすきだった。頬を寄せるとひんやりとするけれど、次第にちょっとあったかくなってくるような、そんな錯覚がすきだった。
もう5年も前だなんて信じられないよ。アトム、今きみはどこにいるんだろう。