宝塚BOYS

宝塚BOYS@ル・テアトル銀座
脚本:中島淳彦 演出:鈴木裕美
キャスト:葛山信吾、吉野圭吾、柳家花緑三宅弘城佐藤重幸須賀貴匡猪野学初風諄山路和弘

シゲがヅカ…!あの顔だし、ハマりそうだよねえヌフフフ。しかも三宅さん出んじゃん!シゲと石鹸の絡みとかちょう観てえ!
……そんな不純な動機でした。休憩込み3時間かー。ちょい長いな。でも前評判いいし、俄然楽しみに。平日の昼間だったからかヅカファンとおぼしきおばさまたち&ヅカOGとおぼしきおきれいなな方がたくさん。しかもWOWOWの中継車入ってました。5列目の良席から激動の時代を熱く、切なく駆け抜けた、しかし決して語られることのなかった男達のドラマを凝視してきましたよ。
すんごいよかった。
その一言に尽きます。どれも誰もハマり役で、日の目を観ることのなかった男達の行き場のない情熱や憤り、友情、切なさ、そんなものが少しの誇張もなくこちらの心に染みこんでくる。だから素直に笑えて、素直に感動できる。なんも考えない、普通にリアクションできる。最近そういうお芝居、観てなかったかもなあって思う。結局宝塚男子部は廃部になって大劇場の舞台に立つこともなかったのだけど、だからこそ最後のレビューシーンがより心に響いたような気がする。きっとこれは、実在した男子部のメンバーに捧げるレビューだったのかもしれんね。レビューの歌と踊りも、ちゃんと踊れる吉野さん以外はみんながんばってる感がすごく伝わってくるんよ。笑顔の中にもすっごい真剣な顔で踊ってるし、その踊りもまだどこかちょっと堅さが残ってて、そこがすんごくリアリティあふれていたわけ。だから余計感動するのね。心から拍手したくなる。夢のレビューが終わってひとり佇む花禄さんの表情がたまらなく切なかった。わたし、こういうダメ集団ががんばる話*1ってもともとだいすきだからなあ。ああ!本当にいいお芝居でした。
三宅さん、よかったなあ。こんなに三宅さんで泣けるとは思ってなかったなあ。最後のレビューの衣装の似合わさっぷりがまたよかったなあ。そして山路さんの、コミカルなところも生かしつつの含蓄のある演技に大いにツボりました。解散を告げに来るシーンでマジ泣きしてしまったよ。
そして何よりもシゲ。シゲ、本当にがんばったね!すっかり白くなって人相変わるくらい痩せちゃって、本当にハードな毎日なんだろうなって、そしてその目に宿る本気を間近で観ていたら、なんだかすごく泣けちゃって。最初出てきた時はちょっとヒヤヒヤしながら観てたけど、次第にそんなことどうでもよくなるくらいのめり込んでた。シゲってダイアリーとかにも「稽古がちょう大変」とか「毎日ハード」とか、そういうことを割と書く方じゃない。俺、がんばってる的なところを出すじゃない。人知れず努力するタイプの人もいるけど、シゲは割とそういうの出す方だから、なおさら頑張りが伝わってきてね。なんとなく彼自身の境遇と重ねて観ちゃうところもあって、ちょっと信じられないぐらいシゲで感動してしまった。よくがんばったね。大泉さんが手放しでほめるのもわかるよ。ああ、シゲがんばったね。馬の足特訓のときに突っ込みまくるシゲ、どっかんどっかんウケてたね。自分も笑いながら、それでもしつこくシゲに感動してたよ。シゲが突っ込んでる!ナックスでの役割とちょっとかぶってる!女にフラれてる!残念なところもナックス譲りだよ!
わたしはシゲに肩入れしすぎですが、どの役者さんもすばらしかったし、脚本も演出もすばらしかった。本当にいいお芝居でした。最後宝塚を離れるときに三宅さんが「あめちゃん食べる?」ってあめ玉をみんなに配るんだけど、「なんであめちゃん?」てしつこく聞き返すシゲと、アドリブらしい応酬を繰り広げるメンバーを見ながら、すごくいいチームワークなんだろうなとニヤニヤしてしまいましたよ。
WOWOWでやったらまた絶対観ようっと。それから余談ですが、終演後楽屋へ向かう上川さんとすれ違いました。ちょうかっこよくて心拍数上がった…!