労働者M
会社からダッシュ、平日の仕事終わりに3時間半拘束。先に着いたおともだちから「古田新太と岡本健一を見ました」という報告を受け3速だったギアが2速に入ったわけだけども、舞台上も客席も豪華だろうだけどどっちも2階席3列目からはよく見えねえよちくしょうと自分のチケット運のなさを嘆くばかり。結局チケットは暗黒箱に入れられることもなく、無事その使命を果たしてもぎられたのでありました。この1枚が9000円。この1枚で9000円。ぬぅ。誰が出てたか忘れないように貼っとこ。ネタバレあり升。
労働者M@シアターコクーン
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:堤 真一/小泉今日子/松尾スズキ/秋山菜津子/犬山イヌコ/田中哲司/明星真由美/貫地谷しほり/池田鉄洋/今奈良孝行/篠塚祥司/山崎 一
良くも悪くもケラだなあ。
鼻づまり気味というバッドコンディションも手伝って、タダでさえもたない集中力がぷっつんぷっつん。終わった途端「2時間に刈り込めるからコレ!」という感情のたぎりを抑えられずにおともだちにぶちまけてしまったのですが、「そうだそうだよこれがケラなんだよ」と瞬時に我に返るのでありました。
それでも前説で「9000円分の価値があるか不安になったでしょ」的なことを言ってしまうのは、演劇的な手法うんぬん抜きにしてわたしはずるいと思う。内容によっては確かに笑いにつながるかもしれないけど、実際観た後では「これってやっぱり出演者のギャラ分よね」としか思えなかったからダダ滑り。豪華なメンツが勢揃い!やった!やっぱりみんな芸達者ね〜、何やらせてもうまいもん。それで終わっちゃった。さんざん気を持たせといて肝心な部分は「欠損」という形で逃げるのは(実験的な手法といえばそれまでだけど)どうも腑に落ちない。そんなんありかよ、と思ってしまう。
わたしにとって演劇ってカタルシスだから、「だから何?」って思いたくないのだよ。何度も痛い思いしてるはずなのにいつもキャストに釣られて観に行って首ひねったまま帰ってきて、どんな話だったのか後から思い出そうとしてみてもちっとも思い出せない。印象が散漫すぎて、伝わるべきことも残らないまま記憶が忘却の彼方へ連れ去られてしまう。やっぱりわたしはナンセンスって苦手なのかもしれないなあ。自然と意味を求めてしまうというか。もうね、これは作風だからホントに個人の好き嫌いだし、だったら観に行かなきゃいいじゃんって自分でも思うんだけど、やっぱりこれだけのメンツ揃えられちゃあさあ〜(身をよじりながら
あとは内容的なこと以外で印象に残ったことを。こればっかりは早く書かんと忘れてしまう。ちなみに客席はよく沸いておりました。些細なことでもよく笑いが起きていて、みんな許容範囲広いなーと思ってしまうほど。
- 毎度のことだけど、憎たらしいくらいに映像がかっこいい。映像集とか作ってくれたら間違いなく買うのに。
- オーケンの声が聞こえると思ったら音楽が空手バカボン!ナゴムギャルにはたまらんでしょう。みんなで歌う、踊るのシーンちょうかっこよかった。凛々しくてステキ。
- 松尾ちゃんがひとことしゃべるたびにドカン、という感じ。これは天性のものですな。かく言うわたしも役者・松尾ちゃんの大ファンだからうれしくてたまりませんでした。でも普段のすさんだ生活をハンパに知っちゃってるもんだから、どうしても「松尾ちゃん倒れないで…!」という祈りにも似た感情フィルター越しに見てしまう。また野田に出てくんないかなあ。
- 池鉄!池鉄池鉄!軍服コスプレに大興奮。コクーンで池鉄…オツだねえ。堤さんとの息もぴったり。
- 哲司さん!哲司さん哲司さん!知的な役もいいけど、こういうどうしようもないダメ男な哲司さん大好物。犬山さんとのナイスコンビ、いつまでも見ていたかった。コメディ色の強い哲司さんて初めて見たかも…イイ。
- 今奈良さんはきわめて今奈良さんらしい役柄、お芝居でした。仕事きっちり。
- 貫地谷さん、まったくひけをとらない堂々とした演技。明らかに「理由なき抵抗」*1のときより成長してる!あんあん言っちゃってたけど事務所的にだいじょうぶ?ていうか相手哲司さんでうらやまー。
- 明星さん出番少ない!プンプン!秋山さん相変わらずステキ。女医さんとモーリーちゃんのギャップにクラクラ。kyon2、最近よく見てるせいかなんだか慣れてきちゃった。悪意のない悪女ミミちゃんが憎たらしくてよい。犬山さんはもう何してもおかしい。声に聴き惚れる。ニャース。篠塚さんの長台詞にドキドキしたけどさすが!象のエピソード面白かった。山崎さんは安定してるなー。何やっても自分の役にしちゃうところがさすが。堤さんはやっぱり華がある。やたら頭蓋骨が小さいって言われてたのにウケた。酔っぱらいの吹っ切れた役どころがたまらない。
- ケラ、コント書けばいいのに。10分くらいのコント10本立てにくらいにして2時間に収めてくれれば喜び勇んで観に行くのにー。
なんだかんだ言ってよく笑ったし最後まで目は離せなかったけど*2、やっぱり9000円分ペイできていたとは思えないのでありました。だけどやっぱりこれだけのメンツをいっぺんに見られるというのは至福。ロイヤルストレートフラッシュみたいな手を使われたらまた観に行っちゃうんだろうなー。などといいながらカラフルメリィのチケット取っちゃった。あはははー。