桜飛沫

18日マチネで阿佐スパ「桜飛沫」@世田谷パブリックシアター。よみがえれ!記憶よ!

「みつばち」のときに最前列で着流しの山内さんをガン見、というかあまりにかっこよすぎて正視できなかったというウォトメ(「乙女」ほど純粋ではない)経験をしたわたしは、なに阿佐スパ時代劇やんのしかも山内さん出んじゃん!ぬふー!と鼻息を荒くチケット奪取、しかもじゅんさん出るって本当ですか( (c)ダ・カーポ)と二度びっくり。ニャカヤマと山内さん、ニャカヤマとじゅんさん、ニャカヤマとしんぺーさん、と期待に胸ふくらませて当日を迎えました。ま、正直なところえんぺレビューでのイマイチ評価にテンションはちょっと下がってたんだけど。
2部構成、休憩挟んで3時間超。F列!と思いきや段差がなくフラットなので見づらいことこの上ない…前に座っていた男性の座高が高いこともあいまって、役者が座ると全然見えやしねえ。だから峯村さん、全然見えなかったよ。ちくしょう、感動したかったなあ!表情見えなきゃ意味ねえじゃん。ホール作るときにもうちっと考えてくれないとさあ。
1部2部両方出る役者もいるけど、どっちかって人も多いのね。だから1部見ながら「あれ?山内さん出ないんだっけこれ?」と混乱しました。観る側はつらいけど、やってる方としちゃ普通の1幕ものに比べて負担軽いんじゃないの?
全体としてはうーん、ちょっとホンが弱かったかなあ。このメンツならもっと面白くできるハズなんだけど。阿佐スパじゃないけど長塚の直近の芝居だとやっぱりLAST SHOWがあまりにも印象深くて、もっと切なく業の深い物語を期待してただけにちょっと肩すかし。水野美紀ちゃんもかわいくて舞台映えしてたけど、なんとなくさらっとした手触りだったし。でもあれだ、やっぱり長塚って男の滑稽さと女の業を対比させるのがうまいなって思いましたよ。猫背さんと峯村さんはその文脈をうまく汲み取って好演。
第1部。結局死んだ人の遺体は大蛇が食べちゃったってことでいいんでしょうか。最後ホントにヘビが出てきたからびっくりした。出ちゃったよ!と思わず三村化。それと悪代官3人組の名前が郷地兄弟て!まずそこに吹き出しそうになった。郷地兄弟=ゴーチブラザーズ*1ですよ!自分らパロってどないすんねん!しかもその長兄役のしんぺーさんがねえ…いかにもしんぺーさん的役柄でねえ…もう憎たらしいことこの上なかった!(ホメ言葉)あとじゅんさんは出オチに近い。アラレちゃんにこういう頭身の人いたなあと思いながら笑う。時代がかった衣裳なのに芝居は新感線新感線してなくて、そこに改めて惚れ直したり。
じゅんさんとこを訪ねる長塚&中山コンビのコメディっぽい小芝居に悶絶。もうこのふたりがしゃべってんの見るだけで至福。しかも毒キノコ持ってどうしようもない小競り合い、というシチュエーションがなおさらたまらん!このシーンだけでチケット代の1/3は元取った!ああ、あそこだけもっかい見たいなー。昔はあんまりそういうこと思わなかったけど、伊達さんってやっぱり何やっても1本調子な気が…うーむ。うーむ。
第2部。通りすがりのダメ刺客役のしんぺーさんと長塚のやりとりに笑う。顔見えなくてもこれだけ個性の強い芝居できるってすごいな。山本亨さんかっこいい!名うての殺し屋っていうから殺陣バリバリだと思ったら、ところがどっこい。でも感情の満ち欠けが秀逸、渋い!かっこいい!でもアカドクロで見たあの変態悪役が脳裏をよぎること数度、必死に打ち消す。同じ役者さんとはとても思えない…。ニャカヤマが派手な着物、しかも裾をからげてやがる!ちょうステキ!しかもおっきな峯村さん相手に暴力ふるうDV男!たまんねえ!刀構えるニャカヤマに胸がはりさけそうです!ヘイ、ドクター!あらやだ、山内さん出てきたよ。紫のド派手着物がまた似合うこと…見とれる。しばし見とれる。そして胸騒ぎ。結構派手な殺陣シーン、見づらいわたしは頭を右へ左へ揺らして山内さんの一挙手一投足を見逃すまいと必死。スネからのぞく刺青がどうしても見たいんだわたしゃ!(マニア)あーもうかっこいい。山内さんとニャカヤマが同時に戦ってて困る。二兎も追えないんじゃボケ!うわあーかっこいいようー!しかも殺陣の決めポーズがわたしの大好物のくるっとやって袈裟懸け!*2ここだけもっかい見たいなー。もしくは山内さんが新感線に出ればいいと思う。本気で。今年の七夕で短冊に書こうかな。
大変申し上げにくいのですが、もうこのシーンだけで精も根も尽き果ててしまいまして。日射病みたいなもんですな、あんまりご両人がまぶしくて、後の記憶があんまりございません。作家先生ごめんなさい。事前にラストシーンがすごいってやたら書かれてたからどういうこっちゃと思ってたら、文字通り派手な桜飛沫がぶしゅー!びっくりした…でもカタルシス時間が短くてちょっともの足りないわたくしでございました。ひっきりになしに舞い落ちる桜の花びらを見上げながら、日本の情緒ってすばらしいなとあさっての方向に感動、でも人がざんざか死ぬ芝居はもうしばらくノーサンキューだなあと思ったのも確かでございます。今宵はここまでにいたしとうございます。

*1:阿佐スパの制作部が設立したマネジメント会社

*2:まったく伝わらなくてすいません