はてなわんころ&つめっこだし

そういえば、うちの犬の話をあんまりしてなかったなあ。
阪神大震災が起きたその日に先代のシーズーを5才という若さで亡くし、しばらく犬とは無縁の生活を送っていたぴよまる家。しかし、突然また犬が飼いたいという衝動に駆られシーズーのブリーダーさんを探しまくったところ、ついに理想の顔面を持つシーズーに遭遇。ブリーダーさんの家にうかがってわんころに対面しましたら、6匹兄弟のいちばん上といちばん下だけが女の子で、本当は長女だけをもらっていくはずだったのに、末っ子ちゃんがずっとおねえちゃんにくっついていて、引き離すのはあまりにつらい、ならば2匹まとめて!と腹を決めて連れて帰ってきたのが姉ミルキー(左)と妹チェルシー(右)でした。

およそ13年前の話です(写真は3年前ぐらいのものです
小さいときは妹のほうがおねえちゃんにひっついていたのに、大きくなるとおねえちゃんが妹にぞっこんになり、妹はそんな姉を煙たがるという構図ができてしまいました。でもおねえちゃんの姿が見えないとキョロキョロとどこか落ち着かなげにしていたので、とてもツンデレなんだと思います。家人が留守のときは、いつもふたりでくっついてお留守番していたようでした。
とにかく元気で、とにかくよく食べ、とにかく愛想のいい姉でした。りりしい顔立ちとほがらかな性格から男の子に間違われることもしばしばで、しかも散歩のとき足をあげておしっこするもんだから飼い主も首をひねりたくなること数回。人にほめてもらうのが大好きで、なでられるとしっぽをぶんぶんと振ってまとわりつきました。妹はTHE末っ子感まるだしで、おねえちゃんが母親に催促するおかげで自分もおやつにありつけたり、おねえちゃんが社交的すぎるおかげで「おとなしくてかわいいわねえ」と言われたり(でも姉と違ってリアクションは薄く澄まし顔)で、何かと得する性格でした。
そんな姉のミルキー(ミーちゃんと呼んでいます)の様子が最初におかしくなったのは、2012年6月のことでした。わたしと母がラスベガス旅行から帰ってきてすぐ、夜中にミーちゃんが高熱を出して倒れたのです。母から電話をもらい慌てて病院に行くと、鼻に管をつながれてぐったりしているミーちゃんがいました。
精密検査の結果、ミーちゃんは生まれつき肝臓の大きさが通常の1/3しかなかったそうです。アンモニアを排出する機能が不全で、一気にカラダにガタがきたようでした。
もうダメかと、一時は覚悟もしました。何日も泣きました。でも母親が面会に行って何度も呼んだところ、意識のなかったミーちゃんが目を開けて反応したというのです。
ミーちゃん、奇跡の復活です。家に連れて帰ったら体調もみるみるうちに良くなり、食欲も回復どころか今まで以上に旺盛になりました。病気したとは思えないほどの恰幅の良さです。
それから1年半。ミーちゃんはゆっくりと、しかし確実に衰えていきました。俯いたまま家中を徘徊し、家具に頭をぶつけては、それでも狭い場所に入ろうとしました。おしっこのとき体を前足では支えられなくなり、介助がないと漏らしてしまうようになりました。そしてやがて、食欲もなくなりました。1日中寝ているだけになりました。
入院させて、点滴を打ってもらうようになりました。こちらの呼びかけにも反応せず、寝ているだけのミーちゃんに、また涙が止まらなくなりました。病院としてももう打つ手はなく、意識のないままずっと入院させておくのもかわいそうなので、院長先生と相談して薬で楽にさせてあげることにしました。また、何度も泣きました。
その日を迎える前々日に、ミーちゃんに会いに行った母親からメールが来ました。「母の呼びかけに応えて顔をなめてくれました。家に連れて帰ります。とてもうれしいです」また涙がわっと出てきて、急いで実家に帰りました。寝たきりだけど、目を開けてこちらを見てくれました。
でも、もう長くはないことは誰もがわかっていました。点滴を外して何日も生きていられるとは思えません。でも、家族で、我が家で、見とってあげたかったのです。
翌日の1月23日、会社帰りにまたミーちゃんに会いに実家に帰りました。かなり弱々しい感じだったけれど、まだちゃんと規則的に呼吸をしていました。安心して家に帰ってご飯を作り、オットの人とだらだらしていたら、母から「息がないみたいなの」と電話がありました。
あわてて向かったけれど、一足遅かったようです。さわってみるとまだ温かくて、わたしはおんおんと声を上げて泣きました。母親が電話で火葬車の手配をしていました。父は手足が突っ張ったまま硬直しないように、ミーちゃんの手足を内側に押さえていました。
最後は母の腕の中で、何かを伝えるように一声鳴いて息を引き取ったようです。その瞬間には立ち会えなかったけれど、暖かいおうちの中で、最後までミーちゃんを囲むことができてほんとうによかった。
ちなみにチェルちゃんはとても繊細で小心者なので、おんおんと鳴くミーちゃんが怖かったのか、父親の部屋に駆け込んで吐いてしまったそうです。血を分けた姉妹だから、やはり何か感じ取るものがあったのでしょう。実はチェルちゃんも全身に腫瘍があるらしく、またこんな思いをしなければいけないのかと思うとつらいですが、今は至って元気なので安心しています。少しでも長く生きてほしいなあ。
翌日、ミーちゃんがお骨になって帰ってきました。とても骨が丈夫だったようで、焼くのに通常の倍の時間がかかったそうです。そう、最後までやせ衰えることなく、ふとっちょのままだったのが、ミーちゃんらしくて笑ってしまいます。最後までよく食べたよね、ミーちゃん。本当だったら1年半前にいなくなっててもおかしくなかったのに、12歳9ヶ月までよく頑張って生きてくれたなあとしみじみします。

というわけで長くなりましたが、今回のつめっこはミーちゃん追悼ネイルです。またネイリストさんに無理を言って、上の写真を見て描いてもらいました。つめっこチェンジするとき胸が痛みそうですが、しばらくはミーちゃんと一緒に過ごしたいと思います。

自動書記状態で書いたので人に見せるほどものではないのですが、これはミーちゃんという可愛いわんころがいたというわたしのための記録です。親バカ失礼いたしました。