マイナスからのスタート

ライティングの仕事が降ってくるたび、いつも「できないよ!」と思う。当たり前だけど普段垂れ流している自動書記みたいな文章を納品するわけにいかないから、企業向けに堅めに、たまにやわらかめに、クライアントの意向に沿って書かなきゃいけなくて、これを仕事にしているわりにはいつまで経っても苦手意識が消えず、仕事を振られるたびに苦い顔になる。納期を知らされて、できんのかなあ?って思いながらだらだらと仕事を始めて、なんとか形になってクライアントに送ったら、こちらのディレクション不足かもしれないんですがこうこうこういう方向性でお願いしますって依頼されたときとはまったく違う指示が来て、「ちょうわかんねえやる気しねえてめえで考えやがれ」ってふてくされながらもケンカ売るわけにいかんからだらだらとリライトして、「これでどうなんだこのやろう」って送りつけたら「いい感じになりました!」って返事をもらえたときの、このやりきった感。
上司は「わかりました!やります!やってみせます!」って返事をわたしから聞いたことがないのでこいつやる気あんのかって思ってるかもしれないけど、わたしはこの生まれ持った自信のなさと不満体質のせいで、仕事から得られる満足度は逆にすごく上がってるような気がするのだ。
なんでもかんでもしょいこんで心が折れてしまって会社を辞めた新人ちゃんは、もちろん新人って立場もあったからだとは思うけど、とにかく気持ちを外に出せない子だった。まじめな子だった。だから降り積もる仕事に埋もれてポキンっていってしまった。彼女から見たら「えーこんなの向こうがやる仕事じゃないですかー。できるかどうかわかんないですけど、でもまあやってみますわー」なんつって仕事受けてるわたしはまったく頼りになる先輩には見えなかったと思うけど、頭を使って無から有を生み出す仕事をやるには、このくらいのガス抜きをしないとわたしはダメなのだ。「ねえちょっとこの代理店あたまおかしいんだけど!」って聞かされる同僚はたまったもんじゃないかもしんないけどさ。
なんでこんなこと突然書いたかというと、昨日ダメ出しが来て不満たらたらで修正した文章にとりあえずのOKが出てちょっと浮かれたからでした。世の中にはもっとばりばりわき目もふらず仕事してる人がたくさんいるっちゅうのにこのわたしのレベルの低さ。おいらほんとは仕事すきじゃないんだろうなー。ちっちゃいころたくさん本を買い与えて、こんな自分にもなんとか仕事をできるようにしてくれた母ちゃんに感謝だな。小学校のころ塾の行き帰りにずっと本を読んでて、リュックで通ってたから先生に二宮金次郎って呼ばれたのも、男子に「おまえ自習室で電話帳読んでただろ」って言われたのも今となってはいい思い出だよ。ストレートにいじめられるより後味悪くてへこんでた11歳のわたし、よくがんばりました><