夏が終わったことを認めたくなくて上着を持たずに半袖で出かけたら、思いのほか涼しかった。皓々と陽が射しているのに過ごしやすいなんてどうかしている。まるで夏が終わったみたいじゃないか。
気づけば10月だった。衣替えだ。夏が終わったことに気づかなかったので、衣も替えられていない。おいらも着てくれよと順番待ちしているTシャツがまだたくさんいるのだ。なんと不憫な。しかし仕方がない。わたしひとりの力でなんとかできる問題ではない。かくなる上はカーディガンを買って中に着よう。ユニクロか。ここ最近街へ出てショッピングというやつをとんとしていない。なぜなら、いったんそういう店に入るとすべてが魅力的に見えてしまうからだ。あれもこれもほしくなり、しかしわたしは貧乏で、結局何も買えずに帰ってきて、この値段なら…っつって通販で買ってしまう。フェリシモが親友だ。何回か失敗したのに靴を通販で買う癖がまだ抜けない。バカだ。また買ってしまった。今度はブーツだ。みんな今からブーツなんて買って気が早いにもほどがあるよ、なんて思ってたけど、わたしが鈍いだけだった。そのことに今日やっと気がついた。
まわりを見渡せばみんな長袖だった。駅でニット帽にニットカーディガンにボアのブーツを履いている女子を見た。頭がおかしいのかと思った。そうか、夏は終わってしまったのか。