夜を駆ける

一緒に働いていた心の友が、6月末をもってステップアップのために転職しました。そんな彼女が、お別れの挨拶に駄菓子をくれました。

中央のポテトフライにご注目ください。「塩キャラメル味」って書いてあります。やめときゃいいのに「ど〜れ〜にしお〜かな〜」って書いてあります。駄菓子界にも押し寄せる塩スイーツブーム。さあ、カオスな予感がぷんぷんしてきましたよ!さっそく開封、実食です!!
まず、袋を開けるとディズニーランドの匂い(=キャラメルポップコーンの匂い)がします。1枚取りだしてかじると、まず塩の味がして、それからキャラメルの味がして、そしてあぶらっこいポテトの風味がして、最後はしょっぱくて終わりました。
……ここまで「ビミョ〜」という表現が似合うものをひさしぶりに食べました。うまくもないけど、まずくもない。すすめられたら食べてもいいけど、食べなくてもいい。普通塩スイーツって甘いのとしょっぱいのが混ざってるからおいしいでしょう。これ、混ざってないもの。甘い/しょっぱいがあまりにも明確にわかれている。どっちかにして!って言いたくなる。それってもう、塩スイーツじゃないよね。「塩」「スイーツ」だよね……。おいしくはないけど、とってもおもしろい食品でございました。
その彼女の送別会がおとといあって、社交性も能力も大変秀でている彼女はみんなから惜しまれ、みんなの話題の中心に位置し、終始にこやかに話をしていました。他のスタッフとあまり交流がなく、加えて社交性もゼロなわたしは彼女の隣に座り、終始黙ってにこにこと話を聞いては酒を飲むばかりでした。彼女がいなくなったあと、わたしは彼女の穴を埋められるのだろうか、きっと火が消えたようにさみしくなるんだろうな。そんなことをぼんやりと思いました。並んで歩いた帰り道、あまりしゃべると泣いてしまいそうなので、口数少なくバイバイと手を振って別れました。駅を目指して歩いていたら、急に涙があふれてきて、わたしはとてもうろたえてしまって、涙を振り切るように駆け出しました。ああ卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう。卒業式でも泣いたことないのに、人との別離で泣いたことなんてないのに、やだな、もう31なのに。またすぐ会えるし、近所に住んでるのに、バカみたいだな。外で泣くなんてみっともない、はい、もう泣くのおしまい。切り替えが出来るのが大人です。
彼女のしていた仕事の何分の一かを背負っただけなのに、なんでこんなに時間とアタマを使うのだろう。彼女はこれの何倍もたくさんの仕事を効率よくてきぱきとやっていて、彼女の有能さと自分の無能さを思い知らされます。遠くなっていく背中に、少しでも追いつけるといいな。