アダバナを咲かせましょう

おとつい、GRAPEVINE tour 2005 sweet home adabana@渋谷AXに行ってまいりました。正直そんなモードじゃなくて、その日朝の出勤時もipodでドラバラを聴きそうになるわたしを必死にコントロールして、泣く泣くデラシネを聴いたという有様。開演20分前に踏み込んだフロアには割と余裕があって、「やっぱり当日券ありますのメールが再三来るだけはあるね…」と正直しょんぼり&苦笑。そして今までに見たことないくらい男の人がたくさん。ちょっと見ないうちに客層変わった…のかね?と友達とダベりながら開演を待ちました。でも、始まったらちょっとどうかと思うくらいいろんな風に気持ちが揺さぶられたライブでした。こんなんなるとは想像もつかなかったよ。曲バレ嫌な方はお引き取りください。

後ろの人がかっこよろしい田中を見て「白いパンツなんて初めてじゃない?」と言っていた。ええ!そうなの!?必死になって伸び上がるがよく見えない。ちなみに最後はけるときに飛び上がってみたら、ホントに白いパンツはいてた。びっくりした。どうしたんだ田中。
今のバインは、圧倒的にかっこいい。月並みな言葉でしか表現できない自分をもどかしく思うくらい、彼らは新しいステージに進んでいる気がする。びっくりしたのは、曲の間、チューニングしてるときとかも彼らの名を呼ぶファンがひとりもいなかったことだ。ちょっと前までみんな口々に叫んでいたのに、誰も何も言わない。それはちょっと異様な光景だった。でも、それはそういう雰囲気をバインが作り出しているから。「田中くぅん」なんて甘ったるい声で叫べないような空気が充満していたのも確かだった。
「Reverb」をやった。「sun」をやった。びっくりした。イントロが始まった瞬間気づいて、わたしの頭上にはドでかいビックリマークが浮かんだ。そして今のバインが奏でる彼の曲たちが、さらに研ぎ澄まされて響くことに気がついた。「lamb」をやった。度肝を抜かれた。大好きで大好きで、でももう全然やらなくなってしまった曲。あんまり驚いて、あんまりかっこよくて、ちょっと涙が出そうになった。
今回のパブロフ曲*1は「KINGDOME COME」だった。1回終わったと見せかけて延々と続くアウトロ。音の洪水に飲まれて、この時間がこのまま永遠に続けばいいと思った。西川さんかっこよかった。
「最後の曲」と田中が言ったとき、わたしは「Everyman,everywhere」か「another world」がいつものように鳴るんだと思っていた。それなのに、耳に届いたのは聴く度に胸がちぎれるほど痛くなるあの曲だった。
「望みの彼方」。
どうして、と思った。なんでこれをこのタイミングで、しかも本編最後にやるんだろう。しかも、わたしのコンディションがこんなにも抜け殻のときに。今のバインが奏でる望みの彼方は、擦りむいてひりひりする心にイヤっていうほど染みわたった。アウトロが終わって彼らが舞台を去ってから、隣にいた友達に「なんでこれやるの!」と小声で訴えたら、今までこらえていた涙がぶわっと噴き出してきた。彼女も同じ気持ちだったのが嬉しかった。

「涼しくなってきましたね。涼しくなってくるとやりたくなる曲があります」と言って始まったアンコール1曲目が、「another world」だった。ええー!またもやひりひりし始めるわたしの気持ち。まさか望みの彼方やってこれもやるとは思いもしなかった。その場に呆然と立ち尽くすわたし。
余韻が引かぬまま始まったのは「アンチハレルヤ」そして「ミスフライハイ」だった。わたしの苦手とするイデアの水槽曲2曲で締めて帰っていった彼ら。このまとまらぬ気持ちをどうしてくれよう。
それからもう1つびっくりしたこと。アンコール明けて客電ついても、普通もうちょっと粘るべ?早かったねー、撤収するのが。明るくなったらみんなすぐに回れ右だもの。おばちゃんびっくりしちゃったよ…。
いろんな意味でいろんな風に揺さぶられた、というのがご理解いただけるかと。セットリストを振り返って思ったことは、「どうしたんだ田中」ということだった。おそらくそんなに深い意味はなかったんだろうけど、わたしには意味深に思えて仕方なかった。それから最終日のzepp、この客の入りじゃ埋まるかどうか心配だよ…。
家庭を持って子供ができても常に陰の世界に身を置き、その歌声でわたしの心をひどく締めつける田中。MCも年々短くなっていってる気もするしね。(でも「し・ぶ・やアーックス!」と言いながら腕をクロスさせていた田中は面白かった。三村みたいにいつ「セックス!」って言うかヒヤヒヤしたのはわたしだけか)でもこのひりひりがたまらなく気持ちよく、わたしの脳天をがつんとやってくれる。ホントにかっこよかった。感情は行ったり来たりしたけど最高のライブだったと思う。祭の余韻でぽわーっとしてたわたしに渇を入れてくれたバイン、ありがとう。そうだ、西川さんが終始テレキャス弾いてたのがうれしかったんだ。やっぱバインはテレキャスでなきゃ!

*1:「パブロフドッグとハムスター」という曲に代表される、ライブならではのなかなか演奏が終わらないナンバー。10分くらいやってんじゃないだろうか