ニルスダイエット第3回

ニルスのふしぎな旅第3話「がちょうに乗って」

モルテンにつかまったまま空高く舞い上がったニルスとキャロット。モルテンはふたりの重さにぶーたれながらも、前をゆく雁の群れに置いて行かれまいと必死で羽ばたき続けます。しかし慣れない飛行でカラダも限界、彼はふたりを乗せたまま急降下。「がちょうが遅れています」とアッカ隊長に報告に行く美人雁(伊東美咲似)のイングリッドですが、アッカ隊長は「少しは危険な目にあった方がよいのです」と毅然とした態度で相手にしません。
モルテンは地上すれすれで我に返り、必死に低空飛行をするものの地面に激突、気を失ってしまいます。数メートル先は湖、ニルスは「水を飲ませてやろう」と初めて家畜に対する思いやりを見せ、モルテンを移動させようとしますがこんな小さなカラダでは到底動かせず、彼は木の枝で何本か集めて(枝切断はキャロットの役目)モルテンの下に敷き、湖まで滑らせることに成功。古代エジプト人がピラミッド建設のために開発した石の運搬方法が、こんなところに受け継がれています。

意識を取り戻したモルテンは空を見上げ、雁の群れが遠くに行ってしまったことを悲しみます。そしてその憤りは当然ふたりに向けられ、「お前たちのせいだ!」とがちょうのくせにファイティングポーズをとる始末。殴られる!というときに「なあモルテン、湖まで運んで水を飲ませてくれたのはニルスなんだぜ」と助け船を出すキャロット。ナイスキャロット!「ニルスが助けてくれた」というありえない事実に直面して戸惑ったモルテンは、黙って湖に戻り、魚をニルスの前に放ります。「腹減ってんだろ、食えよ」モルテン優しい!しかし、ニルスは「生魚なんて食べられないよ…」と半べそ。「他に食べるものないんだから」と生きる術をキャロットに諭され、仕方なく魚をほおばります。

貧しい食事をしていると、行ってしまったはずの雁の群れがニルスたちのいる湖に戻って来るではありませんか。モルテンの表情もぱっと華やぎます。挨拶に向かう途中、モルテンはニルスに「自分は人間だって決して言うな。野生動物はみんな人間を憎んでいるんだから」と教えるも、早くうちに帰りたいニルスは本当のことを話せばモルテンがラップランドに行けなくなると思い、「僕は人間です。魔法で小さくされました」と言ってしまいます。当然雁の群れは大パニックになり、モルテンはそんなニルスをにらみつけながらも「でもこいつはいいやつなんです」とそんなこと微塵も思っていないのに必死になって取り繕います。
「連れて行くかどうかは一晩考えてみましょう」とアッカ隊長は言い残し、眠りにつく雁の群れ。イングリッドは仲間の雌雁に「人間は大嫌いだけどモルテンは連れて行ってもいいと思うの…」と自分の気持ちを打ち明けます。さてはおぬし、惚れたな。

ニルスたちも眠りにつこうとしますが、寒くてとても眠れやしません。それを見かねたモルテンが「今日だけだぞ」と羽を広げてふたりを包み込んでくれます。モルテン優しい。優しいモルテン。これがホントの羽毛布団。

「うまそうな雁がたくさんいるぜ」とマヌケなはらぺこ赤狐、レックスがついに登場!よっ!待ってました!非常にコント的な所作をくり返し、まぬけさを露呈しながらもイングリッドをくわえて走り去ります。「助けて〜」とこだまするイングリッドの声に飛び起きるニルス。「きっと野良犬に襲われたんだ!」と声のする方にひとり駆けだしていきました。呆然とニルスを見送るモルテンとキャロット(キャロットはモルテンの頭上で歩き回りながらニルスの安否を気遣う)の前に、アッカ隊長がやってきます。「この時期いつも仲間が狐にやられるのです」「え、狐なんですか!」ニルスはだいじょうぶだろうかとますます心配になるモルテン。狐って犬より恐れるべき存在なのだろうか。

レックスを追って駆けてきたニルスは、途中で姿を見失います。しかし木に登ってイングリッドの声のする方を確かめると、ナイフで木の皮をきれいに剥いで、ターザンの要領でレックスの顔面に体当たり!「早く逃げるんだ!」といいところを見せまくってレックスの前に立ちはだかります。怒ったレックスはニルスを追い回しますが、人をおちょくることにかけては天才的なニルスに叶うはずがありません。いいように振り回され、最後は木の幹に激突。谷啓ガチョーン」的カメラワークが懐かしさを誘います。

心配して待ちかまえていたモルテンの前に、ニルスは笛を吹いて行進しながら帰ってきます。駆け寄るキャロット。余裕綽々のニルスでしたが、相手が狐だと知ってへなへなと崩れ落ちます。ねえ、そんなに狐ってコワイの?
今回の一件でニルスのことを見直した雁一同。アッカ隊長は自分の仲間を改めて紹介したい、もう2,3日着いて来なさいと3人に申し出ます。喜ぶモルテン、「やっぱり着いていくのか〜」とちょっとガッカリのニルス、「でもまだ正式に連れて行くって決まった訳じゃないし」とニルスに耳打ちするキャロット。とりあえず一件落着。再び寝直しますが、やっぱり寒くて寝られないふたり。そこにモルテンがさっきとは違う態度でこう言ったのです。
「寒いだろ。こっちへ来いよ」
きゃあああ モルテン すてきいいい
頭に毛が3本、Qちゃん風情のモルテンに惚れてしまいそうです。かっこいいよモルテン。その羽毛布団でわたしを包んでほしい。マジで。

次回予告ではリスを狙うレックスの姿が。いい加減彼に何か食べさせてやってください。このままじゃこいつ餓死しちゃうよ…!