デンティスト

定期検診で前歯にちっちゃな虫歯がみつかり、特に恐怖心も抱かず歯医者へ。いくつも治療ブースがあって医者から助手から全員女子、明るくって待たされることも少ないこのシステムはかなり画期的だ。「こんにちは〜、前歯の麻酔ってかなり痛いんですけど、我慢してやっちゃいますか?」おいおい、笑顔でそんなこと言うなや。ちっちゃい虫歯って聞いてたんですけど…!「あ、や、がんばってみます…」「痛くなったら我慢しないで言ってくださいね!」「へえ…」痛いのか、どんだけ痛いのかと待ち構えるあまり握りしめる手に力が入る。しかしキュイーンがきてもガリガリガリがきてもたいして痛くならず拍子抜け。しかし気は抜けぬ。「ギョウテンさんからお電話でした」「あらひさしぶり。リカちゃんのお父さんが上海から帰ってきてるみたいなんだけど、リカちゃんは習い事とか忙しくて帰って来られないみたいよ」「最近の小学生は忙しいから」「ねー」声をひそめることもなく交わされる先生と助手の悪びれない私語を聞きながら、「ギョウテンってどんな字を書くんだろう」と珍名さんに思いを馳せていたら、終わった。あっちゅう間だった。「歯の光沢を出すコート剤、今朝説明を聞いたばかりの新製品を使ってみました!」「え、そうなんですか。ありがとうございます!」鏡で見るとまったくでこぼこしてないし、治した後なんか微塵も見あたらない。すげえ。「1月の定期検診でお待ちしてます!」満面の笑顔で送り出してくれる先生。やっぱこの歯医者、好きだ。