ナイトクルージング

金曜夜から土曜朝にかけての体験は、わたしにとってここ2,3年で最も画期的なものだったようにおもう。「画期的」という言葉はなんかニュアンス的に違う気はするけど、他に言葉が見つからなかったのでやむを得ず。
以下、長くなるのでたたみます。イベントの概要に関しては姐さんたちのところが詳しいので、そちらをご覧あれ。ちなみにNAMIKIBASHIプレゼンツのVV2リリースパーティーと芸人+αのDJイベント「パレード」についての話題です。

まず、「ラーメンズの」という肩書きがつかない小林賢太郎というのをひさびさに見た。それは母体を離れているという意味ではなくて、「素の」という意味だ。それは昔、onedotzeroとかいう青山あたりのこじゃれたスペースで小島さんとラーメンズがパフォーマンスやったとき以来だから、かれこれもう3年くらい経つんじゃないだろうか。あのときはパフォーマンスが終わって、隣接したカフェスペースの真ん中にある無菌室みたいな関係者部屋でやたら大声でげらげら笑ったり、そのあとワイングラス持ったままフロアに出てきてファンの子とぽつぽつしゃべったりするのを見ても*1、「ああ、この人って普段こうなんだ」という小さな好奇心が満たされてどきどきするだけだった。「自分らのコントに余計な色がつくから素は見せたくない」というようなことを昔インタビューでやたらとしゃべってたから、「こんなとこ見ちゃっていいのかな」という秘密めいたどきどきと、「ちょう話しかけたい!」というミーハー根性があいまって*2、気持ちのいい高揚感を保ったまま会場を後にすることができた、ように記憶している。
もちろんわたしの今のモチベーションが当時と著しく変化していることは確かで、昨日感じた感情のほとんどはそこに起因しているんだと思うけれども、あの夜の彼を見て思った気持ちを「失望」としか名付けられないことに、今でもちょっとショックを隠せない。
やってる本人達は楽しいんだろうけど、とおもう。リリースパーティーっつうものに行ったことがないから比較の仕様もないけれど、あそこまで置いてけぼりにされるイベントというのもめずらしいんじゃないだろうか。テキストDJなんて目新しい肩書きをつけてたけど、実際やったことと言えば「こんなんでいいんだ」と思わせることばっかりだったし、VJの繰り出す映像は目がちかちかするばかり(まあこれはわたしが場慣れしてないせいでしょう)、音楽もBPMが早いばっかりでなんだかちっともノレるような代物でなく、会場の奥に設置されたこれ見よがしのVIP席にはグルーピーたちが張り付き、機嫌良く踊ったり煽ったりする彼を携帯で激写しまくる始末。よせばいいのにフロアに出てきてドリンクカウンターに向かおうもんならそれにつられて民族大移動。なんなんだこれは。これは何ショーだ。そしてわたしの目にうつる彼は、もう在りし日の彼とは似ても似つかない姿をしていた。
こういうことやりたかったのかな。こういうふうになりたかったのかな。昔自分が言ってたこと、忘れちゃったのかな。蒸し暑い部屋でひとり、友達からもらったたくさんの昔の記事やフライヤーを見ながらふいに涙が出そうになった。それはそれ、これはこれ。確かにそうかもしれないけど、わたしの中でまたひとつ区切りができたのを感じていた。

サクラワンダフルジェットに出ていた外人の役者さんが同じテーブルにいて、いろんな話を聞けたのがいちばんの収穫だったかもしれない。なぜか彼と急接近したヒロコさん*3から教えてもらった、本人のHP*4をさっき見たんだけれども、撮影風景の写真みたいなのが載ってて、そこにスカジャン着て映ってるのってのっぽさんだよね。だよね?DA・YO・NE?(しつこい)なんか、また衝撃受けちゃった。アハハ。


さて、カブキチョウに移動してパレード。昨日のリンク元見たら、「パレード 高橋健一」だの「DJ パーケン」だの「バレード 新宿 高橋 キング」だので飛んできてる人がめちゃくちゃいて笑った。ごめん、これから書くから。フライング(文字通り!しかしウマくねえ!)させてごめん。でもたぶん期待に応えられると思うヨ。
お笑いから遠く離れて久しいわたしは、トップバッターのDJがダーリンハニーの川島くんだということも知りませんでした。帰ってきておねえたまたちの日記を読んではじめて知ったという有様。ずいぶんとおしゃれな方でございました。さっきまでいた場所とは違って、なんかすげえたのしい。うきうきする。番号が早かったおかげでカウンター席に陣取ることもできて滑り出しは好調。カウンター席は楽屋の近くにあるのでやたらと関係者が出入りしてたんだけど、ほどなくして楽屋入りする黒Tシャツの猫背メガネをはっけん!キター!血圧急上昇。眠れる獅子だったミーハー心を目覚めさせるに十分のステキックぶりでした。あーもうたまんない。その後も楽屋口が気になって気になって若干上の空のわたし。楽屋口の暗がりでおでこんとこに手を当てて誰かを捜してる仕草にときめき注意報が発令されましたヨ。
しかしそんなわたしも素生くんのツボ刺激しまくりセットにうきうきしながら踊り狂い、やっぱ音楽ってサイコウ!と晴れやかな気分に。通い慣れたロフトという場所もあって、なんだか魂が急に解放されたような感覚に陥りました。いやー、しかし貫録ですな。体格もだけど余裕綽々っぷりがもう、ステージ上の彼となんだか佇まいが違って新鮮でした。あと、わたしの席の後ろでやっつんとおざーさんが異常にノリノリで、背中が緊張した。わたしこういうのあんまり慣れてないんで!とかなんとか言ってたら、わ!パーケンが!CDの山持ってやってきた!だけどなんか様子がおかしいの。わたし、最初ラインナップの中に彼の名前が入ってるのがすごい不思議で、パーケンてDJやるんだ!すげえ!とか色めき立ってたけど、やっぱりヤツはまったくの初心者でありました。もうすごいの。飲み過ぎ。お酒弱いのに緊張を紛らわすために飲みまくってるからふらふらしてるし、いやいやながらもヘッドフォンを首にかけられても明らかに口が「きもちわりい」って言ってるし。川島くんたちにひっぱられて二人羽織的に卓操作したり、なんとか最低限の操作を覚えたあとも1曲かけたらすぐ座ったりしゃがみこんだりして、しかも全然盛り上がらない音楽ばっかかけるという有様。でもわたしは、そんな彼を見てるだけでしあわせなのでした(両手を胸の前で握りしめながら)。コップくわえたまま卓いじってる34才、さらってしまいたかったよ。ダメメガネでもいい、むしろ期待を裏切らなかったダメメガネが、とにかくいとしくて仕方ありませんでした。たぶん笑うとこなんだろうけど、終始とろんとした目で見ちゃった。
結局フロアはクールダウンしちゃうし、ダメダメなままで終わったパーケンタイム。でも次は郷太だったので仕事きっちり、エンターテイナーぶりを遺憾なく発揮。しかしながらわたしは気が抜けたのか、よりによって無罪記念マイケルタイム中にうたた寝してしまいました。もうしわけない。でもやっつんになったら大ふっかーつ。くるり中村一義で押さえるとこちゃんと押さえてんだもん。ふとカウンターのいちばん奥を見たら、ぎゃ!パーケンが座っちょる!てっきり楽屋で潰れてるもんだと思ってたからちょうどっきりした。やっぱり猫背でほおづえついて小さくのってんの。ガン見したいんだけどそういうわけにもいかず、挙動不審な感じでチラ見しまくるわたくしでございました。途中ノリノリのやっつんに「一郎!」と合いの手を入れはじめたパーケンに、やっつんも指さして「高橋!」と応える。「お前滑ったな!」「わかってるわかってる」「ソウルフラワーで盛り上がるわけがないんだよ!部屋で聴いてろ!お前なんか最低だ!でもネタはおもしろいけどね」……やっつん(涙)急に「今野!」と叫び出したりして、DJのみならず笑いまできっちり提供していただきました。
最後はDJ陣を紹介して終了!と思いきや突然カラオケタイムに突入。「音楽が本当に好きな人は帰ってください」とやっつんがアナウンスする中、ワンナイトカーニバルやラブリー、仮面舞踏会で大盛り上がり。パーケンはマイクを向けられると途端に歌詞がわからなくなるという相変わらずのダメっぷりを発揮しておりましたが、それ以外はちゃんと歌詞を口ずさんでいて、ちゃんと知ってるんじゃん…!と意外性の扉オープンに興奮いたしました。下ネタ連呼、やっつんの「結局カラオケ」「アンジャッシュの渡部さん!計算された笑いを教えてください」「小林賢太郎!あんなアゴのないやつのどこがかっこいいんだ!天才だけど」発言、やたら完璧な郷太のカラオケ、素生くんとの双子っぷり、ひさびさに見たOO植木のはっちゃけっぷり、八重歯がちょうかわいいパーケン、最終的には大満足。地上に出た頃にはすっかり陽も上がり、オール明けにつきまとう倦怠感も確かにあったけれど、なんだか妙に晴れやかな気分でカブキチョウを後にしたのでした。
たまにはいいなあ、DJイベント。あんなダメな先人がいるんだから、わたしにもできるかもしんまい(危険思想)

*1:ファンは押し寄せる感じじゃなくて、彼が空いたら誰かが近寄るって感じだった

*2:結局友達の力を借りて話しかけた

*3:id:hiloco

*4:http://www.files4.net/acting-japan/