黄色い涙

観たのは5月連休の谷間だから、ずいぶん経ってしまった。恵比寿ガーデンシネマはまつもとさんの主演映画をかけるようになってからなんだかずいぶんとジャ(というかあらしたん)にやさしい映画館になってしまい、2館両方で黄色い涙フェアをやっておった。すごい。だから連休の谷間でも空いていて、あたりを気にすることなく存分にニヤニヤしてきましたよ!
みんな、それなりの格好をすれば昭和になるんだなあ。主演は撫で肩先生なんだけれど、特に彼は昭和顔になる。髪の毛を刈られるのがたいそうイヤで、撮影中にヘアメイクさんから逃げ回っていたというエピソードもかわいいのだけど、やっぱりああいう短髪にすると雰囲気が出るね。しかし5人とも総じてかわいらしい顔なので、ああいうふうに素朴な出で立ちをするとどうも幼く見える。タバコとか吸ってるんだけど、なんだか高校生が背伸びしてるようにしか見えないんだよねえ……。って外見の話しかしてないけど、ついでに言うとびっくりするほど出番の少なかったまつもとさんが見た目的に浮きまくり!どうしてもあの濃い顔は薄まんないのねえ……「あれ?武田真治?いやいやまつもとさん」と目を疑う瞬間が何度かありました。
ろくに働きもせず夢ばかり見ている青年たちが共に語り合い、貧乏を謳歌し、そして夢破れていく。わたしは最初トキワ荘みたいにみんなが大成していく話なのかと思ってた。でもそうじゃない、みんな現実に勝てず、結局はただの人になっていく。*1貧乏でも夢に邁進し、ひいひい言いながら日銭を稼ぎながらこつこつ努力していく……全然そんな美しい話じゃない。「いつかやってやる」なんて口ばっかりで、芸術以外で金を稼ぐのは芸術家としてモラルに反するとかなんとかどうしようもないごたくばっか並べて毎日ぶらぶら、お金がなくなると少ない持ち物を質に入れて、泊り込みで漫画家のアシスタントバイトをしてきた撫で肩先生の給料にたかる日々。ダメ人間と斬り捨ててしまうのは簡単だけれど、なんとかしなきゃと思いながらもどうしていいかわからない、そんなもどかしさが痛いほど伝わってきて、胸の奥がほのかに切なくなる。成功を収める人なんて一握り、今も昔もこんな思いに身を焦がして、燃え尽きていく人々のなんと多いことか。特に大野くん演じる画家を夢見る青年が壁にぶち当たって狂ったように筆を折るシーンは、彼自身と少しオーバーラップするところもあるからか、ずきんと来るものがあったなあ。
これはアイドル映画なんかじゃない。たまたま主演が同じグループの人だってだけですごく普遍的なテーマだし、ましてやあらしちゃん大好きの若い子ちゃんたちにはわからない映画だ。昭和の町並み(阿佐ヶ谷商店街という設定だそうですよ)や思い通りにいかない人生のしょっぱさを記憶にとどめる人にしか、本当の意味では楽しめないと思う。こういう作品に彼らが出てるっていうのは、なんだかとてもうれしいのですよ。
みんな大好きサケロックの音楽もとてもよくて。特に源ちゃんの歌うスーダラ節、胸にしみたなあ。アルバム買おうかなあ。

songs of  instrumental

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こちらは映画のサントラ。劇中で相葉ちゃんが歌う「涙の流れ星」も素敵ですよ。あらしたんバージョンも収録。ほしい。
黄色い涙 オリジナル・サウンドトラック

黄色い涙 オリジナル・サウンドトラック

*1:撫で肩先生演じる漫画家だけ夢を叶えるけど