若冲あいしてる

BRUTUS (ブルータス) 2006年 8/15号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2006年 8/15号 [雑誌]

もう買った?わたしは何度も何度も繰り返し読んでは悦に入っています。インタビューといいデザインといい太っ腹度といい、ちょっと目を見張るくらいのクオリティ。保存用にもう1冊買ってもいいくらいよね。とぼけた味わいの双六がお気に入りです。

プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展
会期: 2006年7月4日(火)〜8月27日(日)
会場: 東京国立博物館・平成館 http://www.tnm.jp/
開館時間: 午前9時30分〜午後5時
(金曜日は午後8時まで、土・日・祝は午後6時まで開館。各日とも入館は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日(ただし、7月17日(月・祝)は開館、翌18日(火)は休館、8月14日(月)は開館)

8月の頭に行ってまいりました。平日だったけど結構な人の入り(ご高齢多め)でうんざりしたけど、展示室を進むにつれて人が減っていってびっくりした。途中のソファとか満席だったし、おばあちゃんは疲れて途中リタイアしちゃうのかもね。最後の間がクライマックスで最高だというのに!

わたしにとってこの展覧会は遊園地のアトラクションみたいなもので、展示室に向かうエスカレーターがジェットコースターのイントロのように思えた。若冲にたどり着くまではやる気持ちを抑えながら他の巨匠の絵画を観て、若冲の間で昇天した。絵の前に立ったら、動けなくなった。
「猛虎図」の虎の毛並み、愛らしく大きい手、「伏見人形図」の多福感、鶴屏風(名前今わからん!)のシンプルな力強さ、そして「鳥獣花木図屏風」。この作品からはなかなか人が離れず黒山の人だかりだったのだけど、なんとか最前列まで進出して舐めるように観た。普段のわたしでは考えられないことだ。
涙が出そうになった。
画面の隅々にまで溢れる動物達への愛、極楽の構図、そして一心に作品に打ち込む若冲の魂が、わたしたちの目の前に立ち上ってくるような気がして。この時代に生まれてよかった、若冲の価値が見直された時代に立ち会えてよかったと心から思う。

立ち去りがたかったけれど、若冲の間を出てもすばらしい作品は続いた。
酒井抱一の十二か月花鳥図は二対あって、もう一対は三の丸でつい最近まで展示されていて観てきたばかりだったので、その対比が大変おもしろかった。若冲と違って静かな印象の絵だけれど、上品過ぎない上品さがなんとも気持ちがよくて好きだ。10月の柿がたまらなくうまそうだ。
河鍋暁斎の達磨図、よかったなあ。鼻毛ボーン眉毛ボーン胸毛モジャーだけど、憎めない表情がたまらない。
長沢芦雪の「白象黒牛図屏風」、あまりの迫力に後ずさりしてしまったほど。目の力を目力というならこれはさながら絵力、それも尋常じゃない。牛に寄りかかる白い犬のバカっぽい顔が大変愛らしくてお気に入り。変な座り方してるし!「幽霊図」ではちっちゃな子供が本気で「みたくないよ〜」と恐がっててかわいかったヨ。
酒井抱一の門人だった鈴木其一。今回の収穫はこの人でした。画集欲しい!「柳に白鷺図屏風」の躍動感といい「群鶴図屏風」のちょっととぼけた味わいといい、絵のタッチがどうしようもなくわたし好みです。

高齢者の少ない最後の間、特別展示。ここはもう這ってでも行くべきです。
ガラスケースのない空間で、光によってさまざまに表情を変える数々の名画たち。また泣きそうになりました。日本人でよかったと心から思いました。どんなに言葉を継いでもこの感動は伝わらない、伝えられるほど達者じゃないから、ぜひ見に行ってください。「柳に白鷺図屏風」と「白象黒牛図屏風」、展示のトリを飾る応挙の「懸崖飛泉図屏風」に圧倒されました。ああ、書いてたらまた観たくなってきた。

お土産が充実しています。
わたしは図録と一筆箋とクリアファイル、Tシャツ2枚をがっつり買い込みました。生きてる間にこんなすばらしい展示会はもうないかもしれん。
今月27日まで、有給取って行くだけの価値は絶対あるよ!急げ!