池辺群虫図、ほしい

昨日、またもや三の丸尚蔵館若冲に会いに行ってきました。早いもので3月下旬から始まったこの展示ももう4期目、9/10で終わってしまいます。さみしくなるなあ…とひとりごちながら入ると、まず酒井抱一の花鳥十二ヶ月図が。これがまたすばらしい。若冲のような精密画ではないけれど、四季の持つ趣の深さを感じさせる上品な佇まい。すばらしい。…わたしは絵の評論家にはなれないな。そして後ろを振り向くと、今期は壁一面の若冲…!動植採絵とは別に、旭日鳳凰図もあるからその迫力たるや並のものではない。この絵、デカ…!見れば見るほどタダモノじゃない感がひしひしと伝わってきます。そしてこれに並ぶのが動植採絵、今回は群鶏図とわたしの愛して止まない池辺群虫図が展示されているので、当然口開けて佇むわけです。すごい。断然すごい。池辺群虫図はその名の通り池に集うあらゆる虫や両生類を事細かに描き込んだもので、これがわたしと若冲との出会いの作品でした。蛙がね、いるんです。みんな同じ方向向いて座ってるの。かわいくてね。トンボやヤモリ、たくさんのおたまじゃくし、蝉やアリやハエや毛虫、蛇に蜘蛛、尺取り虫に至るまで、あらゆる小さき命たちがウォーリーを探せ的な密度で描き込まれてる。この作品に恋い焦がれてこうしてやっと出会えて、時間も忘れて見入っていると伝わってくるんです。小さきものへの若冲の愛情が。鶏の絵を見れば一目瞭然だけど*1、愛がなければこんなに緻密に、しかもユーモアも交えつつ描き込むなんて無理だ。若冲の絵が魅力的なのは、絵の向こうに小さきものたちを見つめる彼の優しい瞳が見えるからだとわたしは思う。
今期は本当に濃い。後ろ髪を引かれて時計を見たら、入館してから1時間以上経過してたよ。すごい狭い展示室なのに!もう1回行こうかな〜。

*1:若冲は鶏がとにかく好きで、庭に何十羽と放し飼いにして日がな一日監察、そしてとにかく鶏ばかり書くという画家だった